導入
物語はアニメ2期の終わりから始まります。
スクールアイドルの全国大会『ラブライブ!』に優勝した千歌は、統廃合になった『浦の星女学院』で『Aqours』のみんなと再会を果たしていました。
ダイヤ、果南、鞠莉たち3年生が「千歌とみんなに『Aqours』の未来について伝えたい事がある」と言い、いきなりMVが始まります。
曲は『僕らの走ってきた道は…』。
これが結構長めで、約5分間『Aqours』が沼津のいたる所でひたすら踊りまくります。まるで沼津のPR動画でも眺めているようで少し笑いましたが、もしかすると『Aqours』から沼津への恩返しなのかもしれません。ファンとしても、これまで『Aqours』の活動してきた場所が次々と映っていくのは感慨深さがありました。
ちなみに『Aqours』が両手広げてジャンプするシーンで、梨子ちゃんだけ控えめに両手上げてるのがめっちゃ可愛かったです。
梨子ちゃんは基本的に落ち着いた印象がありますからね。
しかし口を開けば割と表情豊かで、言う時はガッツリ言うタイプなのが魅力です。
そのため彼女が怒ってるシーンも多々ありますが、誰に対してもそうって訳ではなく、主に千歌とかヨハネとか無鉄砲な傾向のある娘達を対象にしてるイメージがありますね(もちろん他の娘にもキレる瞬間はあるかもしれませんが 笑)。
常識人な分、自分がしっかり注意しなければという意識があるのかもしれません。まあずっと隣で子どもっぽい千歌を支えてきた娘ですからね。推しです。
はい、曲の話に戻ります。
この歌、よく聴くとアニメ1期から映画終盤にかけてのキャラの心情を歌ってるんですよね。つまり後半は若干映画のネタバレになっています。
『仲間を見送る事を受け入れる』とか『0じゃない』とか『新しく夢見て』とか。完全に映画後半の展開です。これは1度見終わったからこそ気づく事でしょう。
冒頭で3年生の言った『みんなに伝えたい事』というのはこれだったんじゃないかと思います。
1期から映画終盤までの展開を『みんな(視聴者)』に伝える。『ラブライブ!サンシャイン!!』の物語を最後まで見届けてくださいね、と。
なんとなくそういう意味も含まれていたんじゃないかと思いました。
新たな学校
3年生を見送った『Aqours』は、心機一転して転校先の『静真高等学校』に向かいます。しかしそこにあったのはボロボロになった小さな校舎。
どうやら『静真』は部活動に力を入れているらしく、『浦女』の生徒達が部活動に余計な悪影響を与えるのではないかとPTAから苦情が入ったそうです。なのでまずは分校扱いにして様子見にすると。
だったら最初から受け入れるなと言いたくなりますが、まあ色々ややこしい事情があったのでしょう。
千歌達は『スクールアイドル部』の活動を見せて部活動に対する真剣さを証明しようとしますが、ライブはまさかの失敗に終わってしまいます。
理由は、卒業した3年生の不在。
大会優勝時点のパフォーマンスを100とするなら、今のAqoursは30か20くらい。それほど3年生の存在感と実力は凄かったと、ライバルチーム『Saint Snow』の聖良から指摘されます。
実際、3年生が加入する前の『Aqours』は東京での初ライブで0票を取っていますからね。この指摘は相当刺さったかもしれません。
鞠莉の母
そんな時、浜辺で特訓をする『Aqours』の前にヘリコプターに乗った鞠莉の母が現れます。
ヘリコプターの生み出す突風に翻弄される『Aqours』ですが、同じタイミングで自分の座席からも物凄い勢いの風が吹き荒れます……!!!
地味にここが最も4DXを感じた瞬間でした。
しかも結構長い。ていうか普通に寒い。
『Aqours』も同じように感じていたかもしれません。だとしたら少し得した気分ですね(……得した気分か?)
さて。鞠莉母によると、どうやら卒業旅行に出かけた鞠莉、ダイヤ、果南と現在連絡がつかなくなっているそうです。つまり行方不明ですね。
なので鞠莉と親しい千歌達に、3年生の捜索を頼みに来たと。
小原家ほどの富豪ならもっと高度な捜索班を編成できそうなものですが、そもそも娘に高校の理事長やらせるようなぶっ飛んだ家庭なので今更ですかね(笑)
千歌達は3年生に再会したい想いもあり、鞠莉母の依頼を承諾します。
では鞠莉達の旅行先は一体どこなのか。
イタリア
という訳で始まりました、イタリア編。
『μ's』の映画でもやった海外旅行です。
注目すべきは美しいイタリアの街並み……ではなく『Aqours』の私服!
映画仕様の私服はいつもと違った雰囲気で興奮が止まりません。特に梨子ちゃんは白を基調とした清楚で上品な装いが素晴らしい。頭のリボンも可愛いです。
こういう劇場版だけの衣装チェンジって妙に惹かれるんですよね。ワンピースの映画でも似たような感覚になった覚えがあります。
かくして『Aqours』は鞠莉達から与えられるヒントを頼りにイタリアを巡り、なんやかんやで再会を果たします。
ここで涙を流しながら姉のダイヤに抱きつくルビィが可愛かったですね。他の誰よりも3年生(ダイヤ)と接していた時間が長い分、人一倍大きな不安を抱えていたのでしょう。
さて、何故3年生は行方不明となっていたのか?
実は鞠莉には縁談の話があり、親の敷いたレールから脱却するために家出を決意したようです。
3年生が行方不明というのは鞠莉母の嘘で、千歌達を利用して誘き出す作戦だったのだろうと。
それに気づいた鞠莉は母の裏をかくため、1、2年生と解散して別の場所での再合流を目論みます。
この逃走中に3年生だけの楽曲『逃走迷走メビウスループ』が挿し込まれ、イタリア中を逃げながら楽しくダンスをする鞠莉達の様子が描かれます。
話の途中でミュージカル風に学年曲が挿入されるのは『μ's』でもあったのでテンションが上がりました。
どうせなら1年組と2年組の曲も披露してほしかったですが、これから先描かれる曲の数を思えば削るのは致し方ないですね。
一方の鞠莉母は娘の策にハマり見当違いな場へ誘導されてしまいました。
数ある選択肢の中で鞠莉母が千歌達に頼ったのは、自分の手口が全て鞠莉に読まれている自覚があったからかもしれません。
再び合流した『Aqours』ですが、結局鞠莉母にあっさり居場所を突き止められてしまいます。
自分で生き方を決めたいと訴える鞠莉に、母は厳しく言い返します。
「今まで散々好き勝手させてきたからこうなった。何1ついい事はなかった」と。
日本の『浦の星女学院』に転入したせいで海外での卒業資格は得られず、スクールアイドル活動を続けても学校は救えなかった。全て失敗に終わった。
だからもう鞠莉の好き勝手にはさせない、と。
これは正直共感できますね。
親からすれば、鞠莉は自ら勝算の低い茨の道に飛び込んで傷を負っているようなものです。娘の将来を考える母親なら怒って当然でしょう。
それに対して鞠莉は「最後までスクールアイドルをやり遂げた。『ラブライブ!』優勝を果たした」と反論しますが、「そのスクールアイドルが一体何の得になるのか」と一蹴されます。
「くだらない」
そう吐き捨てる鞠莉母に、今まで黙っていた千歌も流石に我慢ならない様子でした。
そんな母に、鞠莉はハッキリと言い放ちます。
「スクールアイドルはくだらなくなんかない」
ここな非常に大事な場面ですね。
『ラブライブ!サンシャイン!!』のテーマを象徴するような応酬です。
確かに『Aqours』はどれだけ努力しても学校を救えなかった。ではそこに意味はなかったのか?
違いますね。仲間との出会いや日々の努力、楽しさ、幸福、苦しみ、怒り、涙。優勝を目指して仲間と駆け抜けた時間の全て。それこそが『Aqours』の探していた『輝き』だったんです。
例え失敗しても、スクールアイドルとして頑張った日々は他の何物にも代え難い宝物としてずっと胸に残ります。
だからスクールアイドルを否定された千歌はこのタイミングで怒り、鞠莉も黙っていられなかった訳です。
そこで鞠莉はイタリアでのライブを提案します。
『Aqours』が大勢の人を魅了できれば、スクールアイドルを認め自由にさせてほしい、と。
鞠莉母の了承を受け、一同は早速準備に取り掛かります。
まず重要なのはステージ選び。
どうするか決めあぐねていた時に、1年生のルビィが自分達に任せてほしいと伝えます。
ずっと先輩に頼ってばかりだったから今回は1年生が決めたいという訳です。
1年生達の成長を予感させる台詞です。
そして2年生の千歌はと言うと、3年生の果南と今後の『Aqours』について話をします。
『新しいAqours』って何だろう……と。
その答えは1、2年生で見つけるしかないという結論に達しますが、ここで果南は千歌の胸を指して言います。
「私達の気持ちはずっとここにある」
この言葉を受けて、千歌は少し答えに近づいたみたいです。
結局この言葉がずっと欲しかったんでしょうね。
聖良さんからは『パフォーマンスの低下』を指摘されていましたが、本当の課題は千歌達が抱える不安だったのだと思います。
頼れる存在がいなくなり、不安な状態でライブを披露すれば当然パフォーマンスに悪影響が出ます。
思えばいくら3年生が全員引退したとはいえ、残された1、2年生が弱いままというのはあり得ませんからね。彼女達も成長しているはずなので実力は十分です。
『3年生の存在感が大きかった』というのは、技量だけでなく精神的な意味合いも含まれていたのでしょう。
ただ離れていても気持ちは1つという話自体は、既に1期の『想いよひとつになれ』の回で描かれていたので少し既視感を覚えましたね。
他にも1年組が北海道に残って理亞と作曲をする回もありましたし、基本的に『Aqours』は離れていても強いイメージがあります。
まあ3年生が全員いなくなるのと今までの話では事の深刻さが違いますから、そんなものかもしれません。『MY舞☆TONIGHT』と『君の心は輝いてるかい?』を披露した回でもメンバーの不在に不安な様子でしたしね。
それよりも私はこのシーンで、つい先月ベルーナドームで行われたFinaleライブを思い出しました。
例え最後のワンマンライブを迎えても『Aqours』は消えない。ずっと自分の胸の中にいる。そう言われたような気がして胸が震えました。
過去に1度見たはずの作品が今背中を押してくれるというのは、不思議な体験で面白いです。
そして来たるイタリアでのライブ当日。
ルビィ達の選んだステージはイタリアのスペイン広場。広場の大階段で新曲『Hop? Stop? Nonstop!』が披露されます。
センターはもちろん鞠莉で、左右にはダイヤと果南。3年生中心のフォーメーションは、卒業した彼女達がいかに重要な存在だったか思い知らされますね。
やっぱり9人揃ってのAqoursだよなあ……と。
あと何気に私服でのライブがレアで見応えがありました。特にロングコートの果南が貫禄あってヤバいです。格好良さと可愛さが両立しててたまりません。
せっかくの大画面なので色んな所に注目していたのですが、隅っこでハイタッチする『ようりこ』が可愛くて途中からもう2年生ばっか観てました。
2年推しなので仕方ないですね……。
それと『ラブライブ!シリーズ』には珍しく、聴衆の男性の顔が普通に映ってたのも驚きました。
まあ『μ's』の頃もモブの顔は出ていましたし、意外と細かい制限はないのかもしれません。
曲が終わると、そこには大勢の聴衆がいました。
やはり『ラブライブ!』に優勝しただけありますね。投票結果が0票だった頃と違い、色んな人達が『Aqours』に惹きつけられています。
結果を残した鞠莉は母に告げます。
「ママが私を育ててくれたように、『Aqours』が私を育ててくれた。何1つ手放す事なんてできない」
この台詞めっちゃ好きですね。
先ほど鞠莉母の言った「何1ついい事はなかった」という指摘は、鞠莉の高校生活が失敗だったと決めつけるもの。
しかしその失敗も含めて鞠莉は「何1つ手放す事なんてできない」と返した訳です。
苦しかった事も夢を叶えられなかった痛みも全て『Aqours』として過ごしてきた時間の一部だから。
それが鞠莉の掴んだ『輝き』だから。
そしてその『輝き』が今の鞠莉を支え、ライブを成功に導いたんです。
ここまでやり遂げる力を手に入れたのですから、そりゃあ『手放す事なんてできない』でしょう。
もう1つ。『手放す事ができない』中にちゃんと母親が入っているのも素晴らしいですね。
今の自分を認めてもらいたい。その『今の自分』の中にはちゃんと母親がいて、彼女への感謝を忘れていない。それくらい母親が大切だという事だと思います。
その発言を受け、鞠莉母は「好きにしなさい」とだけ言い残しその場を去ります。
親としての威厳と鞠莉を認めたい気持ち。この2つがごちゃ混ぜになって漏れ出た台詞なのでしょう。
少しツンデレ風に聞こえますが、娘の人生を束縛しようとしていた母の口から飛び出す言葉としては最適だと思います。好きにしなさい=あなたは自由って事ですから。
ここで鞠莉母の活躍は終わりです。どうせなら後半の展開にも絡んでほしかったですねー。まあスクールアイドルの物語に大人がどこまで関わって良いかという話にもなりますが笑
帰国
日本に帰国した千歌達は早速次のステージの準備に取り掛かります。前回の失敗の雪辱戦です。しかし『浦女』の生徒達の協力もあり予想以上に大規模となってしまった事で、期限までに間に合うのかという不安が生じます。
「できる……できるよ」
Aqoursの中で真っ先にそう答えたのはルビィでした。
イタリアでのライブ直後、ルビィは姉のダイヤから「ルビィはもう何でもできる!」と称賛されていました。
だからこそ、そのルビィが『できる』と断言したのは込み上げてくるものがありますね。姉に背中を押され、そのままAqoursを引っ張っていく存在なるのではと期待させてくれます。千歌達2年生の卒業後はルビィがリーダーになるかもしれません。
ライブの決行が確定したその夜、千歌は自室で作詞に励みます。『新しいAqours』が何なのか。自分達の進む道が見えた事が、筆の進みから伝わってきます。
今まで千歌は、『新しいAqours』が0からのスタートだと思っていました。だけど今までの事は全部胸に残っている。だから0にはならない、と答えを見つけます。
前に進んでいるのは千歌だけではありません。
イタリアで梨子ちゃんはピアノの演奏会に赴き、ルビィと花丸は新しい衣装の選別、曜とヨハネは現地の人達から振り付けを学んでいました。
その話を梨子ちゃんから聞かされ、千歌は『Aqours』のすごさを再認識します。
梨子「いいなあ、そんなグループのリーダーで」
千歌「いいでしょー!」
ニヤニヤが、止まりません……。
とまあそんな訳で『Aqours』の成長が大きく感じられるパートでした。
Saint Snow
そんな時『Saint Snow』の聖良から一通の連絡が届きます。妹の理亞を『Aqours』のメンバーにしてほしい、と。
どうやら聖良の卒業後、1人になった理亞のスクールアイドル活動は上手くいっていない様子ですね。
新しい仲間が加わっても、理亞のストイックさについて行けず脱退するメンバーばかりだそう。
ガチ勢とライト勢の違い……この両者の温度差はスクールアイドルに限らず現実でもよくあります。
しかしそれではダメだと物申したのはまたもやルビィ。そもそもの問題点がどこなのか切り込んでいきます。私なりに纏めると、理亞が上手くいかない理由は『焦り』です。
かつて『Saint Snow』は理亞のミスが原因で『ラブライブ!』を敗退してしまいました。決勝進出が叶わないまま姉の聖良は卒業。理亞はそこに大きな責任を感じているのです。
聖良の分まで自分がすごいグループを作る。今度こそ決勝戦に進出して優勝する。そうでなければ聖良に申し訳が立たない。そんな想いが焦りを生み、空回りさせているという事だと思います。
つまり、3年生のいなくなった『Aqours』と同じ――もしくはそれ以上の『不安』を抱えている訳です。
だから必要なのは理亞が『Aqours』に加入する事じゃない。理亞の胸の中に聖良が残り続ける事。
『Saint Snow』が決してなくならない事。それを伝えて理亞が本当の意味で前を向けるようになる事だと、ルビィは言いたいのでしょう。
ルビィがここまで理亞に寄り添えるのは、姉の卒業を見届けた妹同士だから、そして2期で理亞と親睦を深めた間柄だったからに他なりません。
まあその2期で理亞が前に進む回をやっているのでこれも既視感はあるのですが……笑
ともあれ、ルビィの見解を聞いた『Aqours』は、聖良と協力して理亞のために一肌脱ぐ事を決意します。
理亞の思い描いていた夢を叶えさせ、後悔を消し去り背中を押してやろうと。
ラブライブ!決勝延長戦
その夢とはズバリ、『ラブライブ!決勝戦』への進出。
決勝戦に出場するはずだった『Saint Snow』と再びライブを行い『ラブライブ!決勝延長戦』を自分達で始めようと!
ここめっちゃ熱いです。
アニメ1期で『Saint Snow』が登場した時、彼女達と決勝戦を競い合うんだろうなあ……と軽く予想していました。しかし結果はまさかの敗退。決勝戦は『Aqours』だけの舞台となり、思い描いていたライバル対決は実現しませんでした。
しかしこのタイミングでまさかの『Saint Snow』との決勝戦が始まるんですよ。
初見の時も興奮しましたが、改めて見直した今も同じ熱量でブチ上がりましたね。
来たる『決勝戦』当日。
早朝に朝練をする理亞のもとに聖良が現れ、今から『Aqours』と決勝戦を行う事を伝えます。
もし決勝戦に出場していたら歌おうとしていた曲。それを今披露しようと。
そうして始まった曲が『Believe again』。
『Saint Snow』の『決勝戦』に相応しいクールでロックな楽曲です。
やっぱりライバルチームのライブは格好良くあってほしい。そんな期待にドストレートに応えてくれた最高のパフォーマンスです。
あと衣装が結構セクシーなのも大変良かったですね。網タイツの軍服って……。こういうの『Aqours』じゃ中々見られませんからね。
曲が終わり、聖良は自分と『Saint Snow』がずっと理亞の胸に残っている事を伝えます。それを聞いて聖良と抱き合う理亞。
そんな2人の近くをピンク色の羽根が風に飛ばされていきます。
『ラブライブ!シリーズ』において『羽根』は重要な象徴となっています。作中で答えは明言されていませんが、恐らく『夢』の象徴だろうと考えられます。
『μ's』の白、『Aqours』の青と。今まで2種類の色しか出ていませんでしたが、『Saint Snow』のピンクが追加された事で、彼女達が歴とした1つのスクールアイドルグループなんだと認められた感じがしていいですね。
そしてそのピンクの羽根は『Aqours』のもとに届き、青へと変わります。
続いて披露された曲は『Aqours』の『Brightest Melody』。
こちらも『Believe again』に負けない素晴らしい曲です。『Aqours』らしい明るい曲調に、1st single『君の心は輝いてるかい?』と同じ『ちかりこ』のダブルセンター。
サビに入ると同時に衣装が変わるのが印象的です。
何が好きって、サビで昇った朝日が背後から『Aqours』を照らしている所です。
朝日の中で輝く『Aqours』の楽しそうな表情、素敵な衣装、煌めくアクセサリー、微かに見える汗、全部最高です!
私はもう取り憑かれたように魅入っていました。
『サンシャイン』に照らされたAqoursが『ラブライブ!』の決勝を踊ってる……。ああ、これが『ラブライブ!サンシャイン!!』だ……と。
もう妄想なのか解釈なのかわからない意味不明な結論が頭の中をフワフワしていました。
好きがすぎると脳内がお花畑と化すので注意が必要ですね。
この『決勝戦』を見て思ったのは『Aqours』も『Saint Snow』も1番叶えたかった願いを叶えられなかった敗者だったんだな……って事です。
統廃合は防げず、決勝には立てなかった。
だけどそこでめげず、次の夢に向かって進んでいく。その過程で培った経験は人を強くする。それはただ勝つ事以上に価値があるんだと、彼女達の表情を見ればわかります。
いえ、もはや敗者という言い方は相応しくないかもしれません。
敗北から立ち上がり、こんなに最高のステージを披露してくれた彼女達のどこが敗者なんでしょう。
寧ろ挫折した後でも困難を乗り越えて笑うに至った彼女達こそ、本当の意味での勝者と言えるでしょう。
つまるところ、『Aqours』も『Saint Snow』も最高の決勝戦を披露してくれたという事です。
ライブに向けて
物語は終盤に突入します。
『浦女』の生徒達とライブの準備をする『Aqours』。
ここで流れた挿入歌『キセキヒカル』が本当にいいです。元々はアニメで流れていた『起こそうキセキを!』というサントラに歌詞をつけたもの。
未来を歌う事が多い『Aqours』ですが、この曲は逆に過去を振り返っていく歌詞になっています。『Aqours』にとっての過去は『輝き』ですから、これは『輝き』そのものと言っても過言ではない特別な曲です。
そして私の1番好きな場面。『Aqours』が砂浜で走り込みをしているシーンが描かれます。
何気ない描写ですが、ここは映画の冒頭と対になっています。
冒頭の砂浜では、2年生の後ろを1年生が苦しそうに走っている描写。まだ答えの見つかっていない状態です。
終盤では、1年生が意気揚々と2年生を追い越す描写がされています。答えが見つかったという表れでしょう。
ここで自信満々に振り返る1年生と、それを見て笑う2年生が好きです。
1年生の成長と『新しいAqours』の在り方。それがほんの数秒間で感じ取れるお気に入りのシーンです。
そうしてライブ当日が迫る中、転校先の『静真高等学校』の生徒達が駆けつけます。
前回のライブを見て心動かされ、『Aqours』の手伝いに来たようです。どうやら苦情を言っていたPTAの人達も、ほとんどが『Aqours』を認めてくれたみたいです。
元々は『静真』の人達に認めてもらうためのステージだったのに、このタイミングで目的達成するんだ……と少し意外に思いました。
しかし考えてみればそうせざるを得ない事がわかります。
何故なら次のステージは最後の曲で、そこから直接エンドロールに繋がるのです。
事前に『静真』との和解を描いておかないと、結局『Aqours』は認められたの?と気になってしまいます。
そうなると余韻に浸れない。だからこのタイミングだったのだと思います。
そして何より、最後のライブは『新しいAqoursの第1歩』という部分を強調したかったのだろうなと。
そんな訳で『静真』と和解した千歌達は、ステージ作りをみんなに任せ3年生達と合流します。
ここから『浦の星女学院』に行き、これまでの事を振り返りながらみんなで内浦を走っていくのが、まさに青春って感じがして好きです。
フィナーレ
ライブ当日。いよいよ『新しいAqours』のステージが幕を開けます。
3年生や鞠莉母が聴衆に紛れて見守る中、舞台裏では『Aqours』が円陣を行います。
今までは『0から1へ』というのが掛け声でしたが、千歌達の成長に合わせてそのフレーズは消えています。もう0にはなりませんからね。
「1からその先へ。みんなと共にその先の未来へ」
千歌の叫びで、6人の『Aqours』がライブを披露します。
曲名は『Next SPARKLING!!』。
落ち着いた曲調ながらも新しい1歩を踏み出すんだという意志が確かに伝わってきます。
6人のライブを見届けた3年生は、静かにその場を去ります。去り際に鞠莉が愛おしげに後輩達を見つめていたのが心に残りました。
千歌とルビィが3年生のいた場所を見て笑っていたのも良かったです。
やはり『ラブライブ!シリーズ』は別れがジーンと来ます。
ここからエンドロールに入りエピローグが描かれるのですが、沼津の砂浜に『Aqours』の文字と紙飛行機が映し出されます。
アニメや映画で度々描かれてきたこの紙飛行機ですが、よく見ると『Aqours』が初めて0票を取った時の集計結果表だとわかります。
つまりこの紙飛行機は0からスタートした『Aqours』そのものだったんだと思います。
もう1つ。この砂浜に2人の少女が現れるのですが、監督のインタビューか何かで彼女達は『Aqours』が統廃合を防ぐために必要だった99人目と100人目だと明かされていました。
アニメでの梨子ちゃんの台詞を思い出します。
「今から0を100にするのは無理だと思う。でも、もしかしたら1にする事はできるかも」
あの紙飛行機は、0から始まった『Aqours』の物語がようやく100にまで到達したという事を示唆しているのかもしれません。