『進撃の巨人 THE LAST ATTACK』公開初日レビュー！フィギュア買取ネットのスタッフが観てきました！

いってらっしゃい、エレン

「いってらっしゃい、エレン」
これは原作第一話冒頭のミカサのセリフであり、また進撃ファンの中でも長年考察し抜かれたキーワード。その謎も完結編ラストではしっかり伏線回収され、納得と驚愕のアンサーに諫山先生すげぇぇぇええええええ！となったファンは私だけでないはず……。
そんな「いってらっしゃい、エレン」からTHE LAST ATTACKは始まります。

木の下での居眠りから目覚めるエレン少年と、ミカサ少女の「どうして泣いてるの？」のお馴染みのシーン。これは結末と第一話が繋がっていることを知った今、改めて観ると感慨深いものがありました。

場面も時も変わり、異国の難民・ラムジー少年が盗んだお金を山中で隠しているシーンへ。
ラムジーは兄弟や仲間のために悪事を働き、難民のみんなを救おうとしている少年です。規模は違えど、どこかエレンと通ずるものを感じてしまうこのキャラクター……。
時系列で言うと、このシーンの前に、スリで街の商人たちに捕まったラムジーはエレンに助けられているのです。

ラムジーが弟のハリルに「俺が死んだらこの金をみんなに渡してくれ」と託している時でした。街の人たちが必死になって逃げているのを目撃します。なんで？とラムジーが思ったのも束の間、地響きと共に鳥たちがいっせいに鳴き、羽ばたきます。ここでの音響は鳥肌ものでした……！（鳥だけに！）

鳥たちが逃げていく反対方向を、おそるおそる探るラムジーとハリル。その先で見たのは超大型巨人の群れ。
危機を感知したような鳥の鳴き声。大量の羽音。不安を煽るBGM。シアター内に響くその音は、地鳴らしの始まりと恐怖を知らしめ、感じさせてくれます。
この先、殺戮の限りを尽くす地獄が待っているのに、うわー！キタキター！始まったー！と妙にテンションが上がっていきました。これぞ、進撃……！

自宅サイズモニターでも素晴らしい作画と演出は圧巻もの。それを劇場で体験できるとは、なんと有難いことか。開始早々にして、来てよかったと満足度は既に高かったです。

迫力の地獄絵図

地鳴らしではこれでもかと人が、街が、暮らしが、踏み潰されていきます。もちろん、ラムジーもハリルも無惨な姿へと変わり果てました。

踏まれる以外にも超大型巨人の熱で立ったまま焼かれたり、落石によって頭が潰されたり、恐怖に耐えられなくて自殺したりと、あらゆる死に方がリアルに描写されます。

切羽詰まった際の人間の醜さまで丁寧に表現されており、まさに迫力の地獄絵図。子供も大人も泣き叫び、どこにも救いがありません。

容赦なく人が潰されていくシーンは、スクリーンで観るには目を覆ってしまいそうになるほどのグロさ。

巨人に踏まれた圧で、歯がボロボロと崩れていく様子が丁寧に描写されています。それが放送で観た時よりも強く印象に残りました。

スクリーンで観るこの惨劇は、恐怖でありながらも壮観です。

ハンジさん

調査兵団・14代団長のハンジ・ゾエ（以降ハンジ）は、女性でありながら調査兵団を指揮するかっこいいキャラクターです。進撃キャラの中でも人気が高く、ハンジのファンは多く見受けられます。

完結編にてハンジの名前を挙げるというのはずばり、死亡シーンについて……！

ハンジは、対話を用いて相手と打ち解け合うことのできる明るい性格の持ち主。仲間想いで気配りができる一方、巨人研究のためなら我が身の危険すらも顧みない一面もあり、周りはヒヤヒヤすることも。

そんなハンジの死を覚悟して超大型巨人の群れに一人立ち向かうシーンは涙なしでは観られません。

「大勢の仲間を殺してまで進んできた。そのケジメをつける」そう言って、主人公・エレンの幼馴染であるアルミンに15代団長をその場で任命するシーンから徐々に涙腺崩壊ボルテージは上がっていきます。

超大型巨人の群れが迫る足音（地鳴らしの音）が響く中、リヴァイがハンジにかけた最期の言葉「心臓を捧げよ」。

そのセリフは作中を通してずっと使われてきた言葉であり、進撃の代名詞みたいなもの。第二期オープニング主題歌のタイトルにもなっています。

そして、ハンジが言っていたように、リヴァイが調査兵団に入ってから初めて使った言葉でもあるところが、涙を誘発してきます。

そこからのハンジ戦闘シーンはもう目が離せない！もちろん、アニメで視聴済みなのだけれど！観た上で目が離せないのです。

アニメ放送でも十分にあった迫力は、劇場で観ると臨場感に圧倒されます！

凄まじい立体起動の描写は視覚だけの情報のはずなのに、つい風や熱を感じる錯覚をしてしまうほど。巨大スクリーンの威力よ……！

くるぞ……くるぞ……と死の結末を分かっていながら、気持ちは初見の時と変わらぬ新鮮さで没入。そして大号泣。

今回、鼻をすする音・咽び泣く声がシアター内に一番響いたのは完全にここ！いや、もちろんハンジ死亡シーン以降にも泣ける場面というのはいくつもあったのですが、ここが一番でした......！

ほんと、嗚咽を堪えるのが大変だった……。

集大成、ここにあり

最終形態・終尾の巨人となったエレンは規格外の大きさと異様さ。顔以外、骨が剥き出しで、全長は測定不能なほどに長いのです。

放送で観た時もそのビジュアルに驚いたのですが、劇場の巨大スクリーンで観るとより迫力があって恐ろしい！

そのエレンの背中（骨とも言える）での戦闘シーンは、進撃の巨人の集大成に相応しい戦いでした。

アルミン率いる調査兵団たち、及び地鳴らし食い止めチームが、飛行艇から終尾の巨人の背中へと飛び降りるシーンがもう最高でした！

とにかく見応えがすごい！自宅でも何度も観た！！！でもスゴイ！！劇場スゴイ！！！（語彙消失）

アルミンが「エレン！」と意思を固くしたように力強く叫びながらエレンの背中に向かって飛び降りるところ。

劇場で聞くと声優の井上麻里奈さんがとても魂を込めてくださっているのが伝わって、大変胸熱でした……もうワクワクが止まりません！

そして、ここで挿入される「splinter wolf」の音楽がまたカッコイイんです、ほんと。

進撃の巨人と言えば、立体機動装置。前述しましたが、勢いとスピードが感じられる見事な作画と、splinter wolfが合わさるとまあカッコイイこと。

ここからですよ、ライナーが巨人化して獣の巨人に体当たりしながら着地するシーン！そこに持ってくるsplinter wolfのサビ！タイミングが神！制作した方、大天才！

巨人対巨人の迫力満点アクション、立体機動装置を駆使した戦闘。それは進撃の巨人が壮大さを増す以前より、ずっとブレないできた主軸みたいなもの。

このシーンに、進撃の面白さが詰まっている！と言っても過言ではないでしょう。

劇場で観れる喜びを感じざるを得ないです。まさに集大成でした！

涙のエンドロール

「エレン、マフラーを巻いてくれてありがとう」で迎えるラスト。背景にかかる主題歌「二千年若しくは二万年後の君へ」の、もの悲しいメロディがいっそう涙腺を崩壊に導いてきます。

エンドロールが流れる端では、エレンとミカサの思い出の地である冒頭の木がメインで映し出されており、四季と年月の移ろいが描かれています。それは、エレンを失ったミカサの一生を描いたものでもあります。

あまりにも豆粒な大きさのため詳細に判断はできないのですが、ミカサは生きている間、この地に通い続けたのでしょう。

月日の流れでミカサに家族が増えていき、杖をつくまでの描写がされているのです。

そして、ミカサの最期も。棺の中のミカサの首元には、エレンからもらったマフラーが巻かれていました。老いた手のしわが、生涯捨てることなく大切に持ち続けていたことを物語っています。

何度も観てるからね、知ってはいるんですけど……大号泣ですよ。

劇場で聞く「二千年若しくは二万年後の君へ」が胸と涙腺に響いて仕方ないです。

ああ、進撃……、残酷で美しく、壮大な話だった……。と感無量になっていると、曲調が変わり始めます。

Linked Horizonの曲であることを痛感させられる激しい音楽！それに伴い、映像の時代も目まぐるしく変化していきます！

瞬く間にビル群が建設されていき、時代が加速していることを窺える描写。文明の発展に合わせて、ビルの仕様も変わっていくのですが、突如戦闘機のようなものが！なんと、大きなビルに突っ込んでいったのです。

数秒前までの穏やかなエンディングとは打って変わり、空には戦闘機やミサイルが飛び交い、地上では戦車から砲弾が乱れ飛ぶようになります。

せっかく仕上がった文明は再び火の海へと……。歌詞にもありました、歴史は繰り返すと。

その様子をまざまざと見せつけられ、ずしんと気持ちが重くなりました。

この重さこそが、進撃の醍醐味でもあるんですけどね。最後の最後まで、爪痕を残してきます。そして、考えさせられます……。

それにしても、劇場で聞くLinked Horizonは迫力が増してかっこよかった！！

令和の幼馴染

壮絶なエンドロール後のおまけパート。ですが！ここからも劇場版本編と言っても過言でないポストクレジットシーンが最高でした！！（私はアニメ勢です）

エレン、ミカサ、アルミンが劇場で「THE LAST ATTACK」を鑑賞し終えたところから始まります！

なんと我々鑑賞者と一緒の立場として描かれているんですよ。つまり、現代をエレンたちが生きているのです！

進撃キャラ・現代ver.なんて、オタク大歓喜案件。おそらくその日一番集中して観てました。

内容は、視聴後にアルミンとミカサが感想を熱弁し合い、その板挟みにされるエレンといったもの。

なんだ、この平和な空間は、嬉しすぎる……（震）

新鮮だったのが、アルミンの手にスマホがあるところ。そして驚くことに、立派な考察厨となっていました……！アルミンらしい！

ミカサもパンクファッションがすごく可愛かった〜（拍手）

首にはマフラーはなく、代わりにチョーカーが！これは現代エレンからもらったのかなーとか、オタク特有の妄想待ったなし。（おそらくただのファッションと思われる）

エレンは二人を宥める役として描かれていたのですが、これもまた新鮮でした。

人類の8割を滅ぼしてしまうほど自由という狂気に満ちていたあのエレンが、穏やかな日常を送っているというだけで救われた気持ちになります。

忘れてならないのが、劇場の清掃員として登場するリヴァイ！綺麗好きキャラだったことを唐突に思い出させられます。

セリフはなくとも、アクロバティックな清掃で、リヴァイの主張が強かった〜！またじっくり観たい！！

こういったポストクレジットシーンは、放送や配信では味わうことのできない劇場版ならではの魅力です！

前述したように放送回では、最後の最後まで考えさせられてしまい、重い気分で終えるのですが、劇場版には救いがあった！その事実が、とても嬉しいです。