ネタバレあり
鬼滅の刃
冒頭は世界観の解説。
天人に支配された江戸。そこに鬼を倒すべく立ち上がる柱がいたと、いきなり鬼滅パロから始まります。
冒頭からふざけてくるのは銀魂映画あるあるですが、やはり今回も外してきませんでした。
しかも声優さん繋がりで銀さんが柱の1人になっていてメチャクチャです。
鬼滅って言っとけばみんな見てくれるだろとメタ発言全開で、「あーこの感じこの感じ」と一気に懐かしくなりました。
そんな訳で劇場版『鬼滅の刃』が幕を開けます。
晴太との出会い
道端で銀さんはスリの少年、晴太(せいた)と出会います。
出会い頭に財布を晴太に盗まれたかと思いきや、逆にすり返していたのが面白かったです。
ここでさらっと悪事を働くのが銀さんっぽくていい。しかもこの後、財布のお詫びにと晴太にパフェを奢らせる始末です。
実は晴太には金を集める理由がありました。それは江戸の地下に広がる遊郭――吉原で、最高峰の花魁である日輪(ひのわ)を買うため。
生まれた時から母親のいない晴太は、日輪こそ自分の母親だと思っているそうです。
事情を理解した銀さんは吉原に潜入し、吉原の自警団『百華(ひゃっか)』と戦う羽目になります。
この『百華』のリーダーである月詠がクールキャラでありながら銀さんのボケに乗ってくれるのがめっちゃ好きです。
1番笑ったのはクナイのシーン。月詠のクナイから晴太、新八、神楽を守るために颯爽と現れる銀さん。木刀で全て弾き返したと思いきや1本額にぶっ刺さっていた所がクスッと笑えました。しかも銀さんに気を遣った月詠が全て弾き返した前提で話進めてくるのがツボです。周りの客と一緒に笑ってしまいました。
その後何だかんだで銀さん達を逃がそうとしてくれる月詠。しかしここで神楽の兄、神威(かむい)が襲来。
戦闘民族・夜兎族の猛威を存分に振るい、銀さん達を一気にピンチに追い込みます。
銀さんは奪われた晴太を取り返すべく、女装して吉原本拠地に乗り込みます。
日輪のために『百華』を裏切った月詠も同行してくれて心強いです。
時を同じくして真選組も吉原の薬物を摘発するため、女装で潜入を試みていたのですが、沖田の黒ギャル女装が中々可愛くて正直アリだと思ってしまいました。女体化回のポニテ沖田も良かったし、そういう才能があるのかもしれません。
月詠
ここから先はひたすらバトルです。
銀さんを先に行かせるため、仲間達が敵の足止めをすべくそれぞれの戦場で戦いを始める事になります。
まずは月詠。かつての部下『百華』を足止めすべく1人残ります。最後にキセルを吸おうとした月詠が銀さんに取り上げられ、最後まで死なずに戦う事を決意するシーンがグッときました。
しかし足止めはするものの部下に一切反撃を行わない月詠。
「自分は吉原から逃げ出そうとした花魁を粛清してきた。吉原を裏切っておきながら自分だけ生き延びようとするのは筋が通らない」と。
死よりも筋を通す事を選んだ月詠の生き方に胸が震えましたが、次のシーンはもっと感動しました。
部下達は戦いをやめ、口元を覆っていた布を外していきます。そこには切られたような傷跡が。
部下達は言います。
「だけど……粛清されるはずだった私達を殺さずに、『百華』の一員として匿ってくれたのはアンタじゃないか」と。
ああ〜〜〜そういう事かっ!!!
かなり昔に『吉原炎上篇』を見た時の感情を思い出しました。そうだ、こんないいシーンがあったんだった。なんで今の今まで忘れてたんだと悔しくなりましたが、また味わえて良かったと胸が熱くなりました。
月詠は最初から銀さん達を助けてくれた人です。初登場時点から彼女の信念は一貫していたんだなあ。
当然、こんな互いが互いを思いやる状態で戦闘続行など不可能です。
この戦いは死者を1人も出さず終わりました。
月詠が辿ってきた生き方がこの結果に反映されてるみたいで好きですねー。
神楽と新八
お次は神楽&新八VS夜兎族の阿伏兎(あぶと)。
神威の部下の阿伏兎は相当な強者で、同じ夜兎の神楽ですら敵いません。
当然普通の人間である新八も歯が立たず、阿伏兎に串刺しにされてしまいます。
神楽が死ぬか新八が死ぬか。そんな2択を迫る阿伏兎に対して、「お前が死ね」と言い放つ新八が格好良かったです。
新八は愛すべきツッコミでありながら、精神的にも力量的にも侍として成長していくのが魅力だと思います。ずっと銀さんの背中を追ってきたからこそですね。
流石にまだ力では夜兎の阿伏兎に敵いませんが、気持ちでは負けていません。
そんな新八を殺す事に決めた阿伏兎。
死に行く新八を見て神楽は夜兎の血が覚醒し、暴走。圧倒的な力で阿伏兎を圧倒します。
やはり星海坊主と神威の血……。神楽もとんでもない力を秘めていたようです。
ここからの戦闘シーンが迫力満点でした。
立体的な描写と言いますか、奥行きのある襖を背景に、様々なアングルで阿伏兎に襲いかかる神楽が圧巻で、当時の『吉原炎上篇』からアニメーションの進化を感じました。
我を失ってトドメを刺そうとする神楽ですが、咄嗟に新八が羽交い締めにして食い止めます。
「僕たちの神楽ちゃんを守るんだ」と。
そんな新八の叫びに反応して神楽は正気を取り戻します。
新八と神楽にはそれだけの絆があるという事でしょう。暴走のきっかけも新八ですし。
一方の阿伏兎は足場が崩れて落下しそうになった新八と神楽を救い、自分1人だけ落下していきます。
「共食いは嫌いなんだ」
単純に夜兎の神楽を守るために言った台詞だと思いますが、もしかすると最初から仲間を守るために戦っていた新八に自分を重ね、『共食い』と表現したのかもしれません。
どちらにせよ、ただの憎まれ役で終わらないのが銀魂の敵っぽくていいですね。
晴太と日輪
敵に捕らわれた晴太は桂と真選組の近藤に救われ、神威の案内のもと日輪の部屋へたどり着きます。
息子と母の対面かと思いきや、日輪は頑なに扉を開けてくれません。そこへ吉原の支配者・夜兎族の鳳仙(ほうせん)が現れ、衝撃の真実を語ります。
晴太の母親は彼を産むと同時に死んでおり、赤ん坊だった晴太を命懸けで吉原から逃がしたのが日輪であったと。
つまり実の親子じゃなかった訳です。
初見じゃないはずなのにここは驚きました。こんな展開まで忘れちゃってたのね……。
だけど晴太にとって血の繋がりは関係ありません。赤ん坊の自分を守ってくれた日輪は紛れもなく母親です。力ずくで扉を開けようと体当たりを繰り返します。
するとそこに銀さんが登場。木刀を投げつけ、扉の錠を破壊してしまいます。
扉の奥にいたのは、涙を流す日輪。
近づいてくる晴太に、日輪は泣きながらこう呟きます。
「いいのかい? アンタの母ちゃんになっても」
ここで迷わず「母ちゃん!」と叫んだ晴太と、日輪が抱き合うシーンが胸に染みました。冒頭で鬼滅を面白おかしくパロってた作品とは思えないほど真っ直ぐな人情物です。
でもこういう所が銀魂らしいと思えるのがスゴイ。
日輪と共に逃げ出そうとする晴太ですが、なんと日輪は部屋から逃げられないよう足首を傷つけられていた事が明かされます。
絶望的な状況ですが、それに負けじと晴太は日輪を背負って逃げようとします。
「母ちゃんが背負ってた分、今度はオイラに背負わせてくれよ」と。
ここの台詞、痺れますね。子どもとは思えないほど粋でかっちょいいです。
真選組と桂
鳳仙を銀さんに任せ、日輪を背負いながら出口へと向かう晴太。
そこに鳳仙の部下である天人が立ちはだかります。
しかしこの戦場に乗り込んでいるのは万事屋だけではありません。吉原の薬物を追って潜入しに来た真選組が合流します。
真選組自体が原作にはいなかったので、ここから先は恐らくオリジナル展開だろうと思われます。
銀さんとは別軸の話でしたが、きちんと格好良い殺陣を見せてくれました。個人的に沖田の好戦的な瞳に痺れましたね。
しかも真選組が薬物を燃やした事で吉原は更に炎上。タイトルの『大炎上』ってそういう意味もあったのね笑
確かに原作以上に燃えておりますわ。
晴太は真選組に日輪を任せ、途中で合流した新八、神楽と共に『とある装置』を起動しに向かいます。
それは吉原から太陽を遮断していた巨大な天井を開く装置。これを使えば太陽を弱点とする鳳仙を倒す事ができます。
道中、神威に阻まれますが桂が参戦した事で晴太は先に向かう事が叶いました。
果たして装置は起動できるのか。
銀さんVS鳳仙
そしてお待ちかねのメインバトル、銀さんVS鳳仙です。神楽のスピーディな戦闘と違い、一撃一撃が重く、魂と魂のぶつかり合いといった熱気を感じさせてくれました。
鳳仙はかつて神楽の父・星海坊主と肩を並べた夜兎の実力者。流石の銀さんでも歯が立ちません。
しかし月詠率いる『百華』の応戦もあり、銀さんは再び立ち上がります。もうこの辺りは完全にジャンプの主人公です。ただの天然パーマじゃありません。
銀さんと『百華』の連携に目を奪われていると、晴太の起動した装置によって吉原の天井が開放。
鳳仙は太陽を浴び弱体化してしまいます。
そこへ銀さんが最後の一撃。何の技名もない一突きですが、そこに銀さんの本気が込められているのが容易に伝わってきます。
最後に太陽を出す事によって鳳仙の敗北と吉原の解放を同時に演出しているのがニクイなと思いました。決着のタイミングで主題歌の『燦然(さんぜん)』を流してくれたのも良かったです。
戦いに敗北した鳳仙は、自身の過去を回想します。
彼はかつて幼少期の日輪から、苦手な太陽と仲直りさせると約束してもらっていました。
彼が日輪を吉原に縛り付けていたのは、彼女自身に恋焦がれたというより『約束通り太陽を見せてもらいたい。だけどそうなると自分は弱ってしまうので屈する訳にはいかない』という矛盾した願望だったのではと思いました。
もしくは『日輪が鳳仙にとっての太陽となっていた』か。
この辺りの心情は映画を見返すか、原作を読むとわかりそうな気もします。
鳳仙は日輪に膝枕してもらい、最期を迎えます。
結局彼は太陽のもとで日向ぼっこをしたかったおじいちゃんなのだと。そう日輪が言っていたのが胸に来ました。
吉原
太陽のもとに晒され、吉原は新しく治安の良い町に生まれ変わった――と思いきや、普通に大人のお店が現代風にバージョンアップされただけで未だ欲望蔓延る町のままでした。
何なら晴太は大人のオモチャ屋で働いてる始末。晴太以外全てモザイクになっていた絵面に笑いました。
しかしそこには確かな自由がありました。みんな当たり前のように笑い、怒り、涙する。銀さんの暮らすかぶき町と全く変わりません。
結局、こういった普通の日常を取り戻す事こそ1番のハッピーエンドなのかもしれません。
最後に日輪から酒を注がれた銀さんが一杯飲み、「うめぇ」と一言呟いて物語は終わります。
あれだけの激闘を繰り広げたのに、最後は吉原トップの花魁から普通のお店でお酒を注いでもらう、という絵面で終わらせたのが素晴らしかったです。
まとめ
過去作をリメイクした新劇場版銀魂。
懐かしの『吉原炎上篇』が迫力満点の大画面で蘇っており、非常に楽しめました。
笑いあり涙あり下ネタありバトルありの銀魂らしい詰め込み具合に大満足です。
最後に高杉が登場したという事は、次回作の構想も出来上がっているのでしょうか?
自分的には『かぶき町四天王篇』の新劇場版が観たいなーと密かに期待してます。