『ルシファー』
バイクのフェスに向かうコナン一行は、2人乗りの暴走バイクを目撃します。周りの車を傷つけながら進んでいく彼らは、どうやら謎の黒いバイク『ルシファー』に追われている様子。
更にその2台を追いかける白バイが参上。
本作の主役、萩原千速です。
しかし途中で2人乗りのカップルが転倒した事で、千速とルシファーの一騎打ちに。
千速は端の壁をバイクで走ったり、ハイウェイを飛び越えたりと、どっちが暴走してるのかわからないようなアクションを見せてくれます。
スピーディで派手な動きに冒頭から心掴まれてしまいました。
しかし横断歩道でひかれそうになった子どもを助けたため、犯人には逃げられてしまいます。
かなりの無茶を強行する一方で、命を優先する正義感を持ち合わせる。千速のキャラが1発で伝わってきました。
どうせならコナンもスケボーで追いかけるシーンが見たかったですね。
バイクフェス
バイクフェスに向かったコナン達。
途中、人質事件の訓練にバイクで乗り込んだ千速が豪快すぎて笑ってしまいました。その後重吾に拳銃のジェスチャーを向ける顔も凛々しくて格好良かったです。
千速は偶然にも同じバイクフェスで新たな白バイ『エンジェル』のテストライダーに選ばれた模様。
『エンジェル』の開発者・大前によると、上手く運転できるアシストシステムが搭載されてるみたいです。
さっそく『エンジェル』を運転する千速ですが、なんと新記録でゴールします。
実はアシストシステムを切り、千速だけの力で記録を塗り替えたそうです。
ま、まあ冒頭から派手なアクションを見せてくれたあなたなら……。
ていうかアシストシステム使わなきゃ紹介の意味ないですね笑
ただこの『エンジェル』ですが、アシストシステムなのにこの後千速を助けてくれる展開はありません。ただ敵の思惑に利用されて終わりです。
ここが勿体ないなーと思いました。
この後世良ちゃんに発信器をつけたり引き続き『ルシファー』の事件を追ったりするのですが、自分の中で少しずつ違和感が出てきました。
あんまり緊張感がないなあ……と。
原因は『ルシファー』の恐ろしさが曖昧なところでしょう。
まず被害者達が『ルシファー』から逃げる理由がわかりません。
例えば拳銃を出していたなら理解できます。追いつかれた瞬間に射殺されてしまうので当然逃走するでしょう。
でも拳銃が出てくるのはもっと先です。
この辺りの描写が足りていないので『ルシファー』のヤバさがあまり伝わってきません。
ただ焦った被害者が転倒するまで追いかけてるだけの犯人です。
拳銃を最初から出してくれればもっと入り込めたのだろうなと思います。
千速の先輩
コナン達をホテルまで送ろうとする千速ですが、途中で警官の先輩の家に立ち寄ります。
彼女は千速に代わって容疑者を追い詰めた際、容疑者を死なせてしまい、挙げ句その時の衝撃でバイクに乗れない体になってしまったようです。
千速も先輩もそれをずっと引きずって後悔しているみたいですね。
ただ『バイクに乗れない』というのは裏を返せば『バイクに乗って犯罪を犯す』意外性を出せるという事です。しかも今回はアシストシステムがキーになっています。
絶対こいつが犯人ですよ!!!(単純思考)
世良パート
次に世良ちゃんと合流するコナン。
世良ちゃんの行きつけのバイク屋の店主が行方不明となり、彼を捜索している事情が語られます。
以前店主が関わっていた裏レースが怪しいと踏んで捜査が続くのですが、正直この辺りは本筋と合流するまでが少し長いかなと思いました。
店主も『ルシファー』の被害者であったなら、もっと気持ちが乗れたかもしれません。
しかし世良ちゃん自体は『バーボン編』の頃から好きなキャラなので、久しぶりに映画での活躍が見られて嬉しかったです。『バーボン編』を読んでた当時は、蘭とクラスメイトの女子高生探偵が組織の一員なら激熱なのになあ〜とか妄想してました。
結局店主は口封じに遭ったと判明し、コナンと共に裏レースの開催者達と戦う展開に。
そして色々あって『ルシファー』に追いかけられます。
ここで『ルシファー』が拳銃を出したのでやっと緊張感が高まってきました。
咄嗟に施設内に避難したコナン達。振り切ったと安堵したのも束の間、ステンドグラスを突き破って『ルシファー』が襲ってきます。
ここの整合性ガン無視アクションはコナンっぽくて笑ってしまいました(しかもド派手に登場した割にあっさりと外に逃げられるオチつき)。
結局駆けつけた蘭に助けられ、『ルシファー』は目元だけ晒して逃げていきます。
この辺りからやっと物語に入り込めた気がしました。
『ルシファー』の正体
色々ヒントを整理し、結局『ルシファー』の正体が千速の先輩だったと判明します。自分が命を奪った容疑者の死が仕組まれていた事。それによりバイクに乗れなくなった事。
色々な想いが積み重なり、あの日の事故の関係者に復讐していくようになったとわかります。
割とそのまんまな種明かしでしたね。
先輩が犯人なのは熱くて好きなんですが、明かし方が少し勿体ないかな〜と思いました。
せっかく犯人が顔を隠しているのだから、正体を暴く瞬間にヘルメットを脱がせた方がよりドラマチックになったのになあ、と。
その後千速と『ルシファー』が対峙し、最後のレースアクションが描かれます。
やはり今回の目玉はバイクアクション。短いながらもスリリングで楽しめました。
ただ千速が途中で『ルシファー』を追い越した時は笑ってしまいました。
もう普通にレース楽しんでるじゃん。
ここは強いて言うなら、もう少し緊張感があっても良かったかもしれません。
例えば『ルシファー』が爆弾を運んでいる。それをどこかに届けられると多くの人が巻き込まれる。だから今ここで確実に止めなければならない。
一方の『ルシファー』は目的を果たすため千速を振り切る必要がある。
これならもっと手に汗握る戦いにできたかな〜と思いました。
でも千速とバイクで決着をつけたかった、という先輩の願望は人間らしくて好きです。
先輩の中にはあの日の後悔があったはずです。
千速なら容疑者を死なせなかったかも。
千速ならもっと早くに捕まえられたかも。
それを思うと、ここで千速を超える事に大きな意味があります。自分の操縦が上なら、どうせあの日に千速が出動しても同じ結果になっていたかもと納得できますから。
真犯人
倉庫に誘い込んだ『ルシファー』をコナンの麻酔銃で眠らせた後、千速は『ルシファー』に変装して共犯者のもとに向かいます。
その正体は『エンジェル』の開発者、大前。
千速と先輩の操縦データが欲しくて色々な人達を利用していたみたいです。
この設定は好きなんですが、奪われた千速のデータがこの後特に活きてこなかったのが残念でした。
千速のデータを取り入れた最強のアシストシステムを、自分の力で乗り越えるイベントがあればかなり熱かったと思います。
ついでにコナンと世良ちゃんを追いかけていた『ルシファー』が大前だった事も明かされます。
そして足が不自由なはずの先輩が運転できていたのは、アシストシステムのおかげだったみたいです。
なんか本当にそのまますぎて少し笑いました。
ここはもっとひねりがあっても良かったかもしれません。
大前は初登場時に『自動運転はアシストシステムと違うので専門外』的な発言をしています。
こう言っている以上、先輩が運転できる理由には何らかのトリックが必要です。
そこを解いていくのがコナンの推理でしょう。
結局、大前は爆弾でコナン達の気を引いた隙に逃走。
コナンは1度警察署に戻り、改めて状況を推理。
色々あって『エンジェル』のデザインを担当したデザイナーが大前を殺そうと企んでると発覚します。千速の先輩に事故死させられた容疑者(弟)の敵を討つために、スナイパーまで用意したそうです。
結局ゲストキャラ全員犯人なんかーーい!!!
そりゃゲストはみんな怪しいはずです。全員犯人なんですから。
こういうのって、怪しく見えるけど蓋を開ければ全く違う意図でしたって種明かしになると思うんですけど、今回は別です。犯人が犯人っぽい行動をしていたので普通に怪しい。これだけです。
結局、スナイパーの狙撃ポイントから大前の行方を逆算したコナン達は大前の捕獲へと動き出します。
しかしそこに世良ちゃんが。
なんと蘭が大前に誘拐されたらしいです。
ここは正直よくわかりませんでした。
なぜ蘭を拐う必要があったのでしょう。
①『ルシファー』に乗った大前の素顔を見たから。
それなら口封じのためにその場で殺せばいいと思います。
そもそも素顔も何も大前が犯人なのは警察に知られています。今更蘭を拉致したところで、という話です。
②蘭を人質に取るため。
考えられるとすればこれですが、こっちもかなり怪しいです。人質に取ったなら大前が警察に交渉を行うでしょう。
そうでなければ人質の意味がありません。
しかし一切の連絡がないので、人質ですらない。
これはもうノリで誘拐したとしか思えません。
ならこっちもノリで見るしかありません。
爆弾解除
大前の逃走経路を追いかけるコナン達。
ところが『エンジェル』と『ルシファー』に爆弾が仕掛けられている事が判明。
千速の後ろに飛び乗ったコナンは爆弾解除に挑みます。ここは松田陣平の回と重なって興奮しました。
『時計じかけの摩天楼』といい、コナンにおける爆弾解除はいつも胸に残ります。
意外と呆気なく解除に成功しますが、もう1つ時限爆弾が仕掛けられている事が発覚。
仕掛けたのは大前の射殺を狙うデザイナー。
止めようにも、仕掛けた本人はヘリコプターで上空を飛んでます。
いつもは勝ち気な千速が弱腰になっているのが印象的でした。
どうするかとなった時に千速のもとに重吾から電話がかかってきます。
重吾は千速の弟・研二から聞かされた言葉をそのまま伝えます。
千速は足も遅いし銃も下手だし格闘もイマイチ。だけどバイクに乗れば1番速い。無敵だと。
ここの台詞はかなり重要ですね。
無敵の方に重きが置かれてますが、個人的には『1番速い』という部分が大切だと思います。
千速は今まで色んな人の死を受け止めてきました。それは全て自分のいない場所で起こった事です。
先輩だって、自分の代わりに容疑者を追いかけたせいで足を怪我しています。
きっと千速には死者や先輩に対する負い目があった。大事な人達を守れなかった経験から、弱気になっているのだろうと解釈できます。
しかし冒頭で子どもを事故から救出したように、バイクに乗った千速なら誰だって助けられます。
だからこそ『1番速い』→『無敵』という言葉が救いになったのだろうなと。
千速は迷いを振り切り、コナンの作戦でブリッジのケーブルを渡り、ヘリコプターへの突撃を決行します。
ここは笑いと興奮が混ざり合いテンション高めでした。
この『そんなわけない』アクションがコナンの醍醐味です。
普通はバイクでヘリコプターに突っ込めません。けど千速ならできるんです。何故なら千速は無敵だから!
バイクごとヘリコプターに乗り込んだコナンは、操縦席のデザイナーに爆弾解除を呼びかけます。
自分ごと爆死するのを恐れ、爆弾は無事に解除されました。
デザイナーはメチャクチャ悔しがります。そりゃそうでしょう。バイクに乗った小学生と警官がヘリコプターに乗り込んでくるなんて予想できませんよ。
自分は歴代のコナン映画を全部見てるので慣れてますが、よくよく考えたら爆破と派手なアクションに期待する推理作品って何なんだろう笑
それはさておき、爆弾と狙撃を食い止めたコナン達はヘリコプターから落下します。
重吾と世良ちゃんが地上で受け止めたおかげで、何とかコナン達は死なずに済みました。
そして肝心の大前ですが、途中で目が覚めた蘭にボコボコにされ拘束されたそうです。
多分ここは笑いどころなんですが、それよりも蘭の扱いが雑すぎて『おいおい……』となってしまいました。
どれだけ意味のない誘拐だったとしても、コナンにとってのピンチな訳ですから、ここは素直にコナンが助ける展開にしてほしかったです。
ていうかこんなに雑に処理するならそもそも誘拐自体なくても良かったでしょう。
蘭は銃弾を回避できるくらいの強キャラですが、新一にとって帰るべき場所であり『黒の組織』と戦い続ける最大の理由です。
歴としたメインヒロインなので、是非とも大事に扱ってほしいですねー(誰目線)。
でも次の30周年作品は新一と蘭にスポットが当たるようです。次作への溜めと考え、期待して待ちます!
横溝重吾
もっと活躍してくれーーー!!!
千速とのバディみたいに扱われてたのに、正直存在感をあまり感じませんでした。
そもそもこのコンビって、原作の時点で千速を立たせるために重吾が使われてる感があって乗れてなかったんです。
警察学校組の要素を出すために姉を登場させて、ついでにラブコメ枠も昔のキャラから引っ張ってきちゃおう……って魂胆が伝わってきます。
だから本作では重吾の活躍を期待してました。
でも重吾である意味が感じられません。
千速を助けた重吾が『千速のウェディングドレスを見るのは松田じゃなくて俺になりそう』的な台詞を言ってましたが、そこも感動できません。
もしも松田陣平が生きていたら同じように千速を助けたでしょう。
重吾だからこそ助けられたという説得力がありません。
何なら重吾にしか言えない言葉で背中を押すくらいで良かったのではと感じます。
実際それっぽいシーンはあります。でもそれですら弟の言葉を伝言しただけ。
千速の背中を押したのは重吾ではなく弟です。
このままじゃ千速のウェディングドレスを見るのが亡き弟という事になってしまいます。
重吾が千速にとって唯一無二の相手になる日を願います。重吾、頑張れ!!!
別に重吾推しって訳じゃないけど昔からいたキャラだから変に熱が入ってしまいました。
良くないですね。
ただ上半分が吹き飛んだ車体に乗り込んで向かうシーンは格好良かったです。
何気に三池苗子の出番が多かったのも嬉しかった。千葉刑事と彼女の映画とか来ないかなあ。無理か笑
松田と研二
思ったより活躍しなかったなーという印象です。
事件の核にこの2人が絡んでいないせいでしょう。
例えば『ルシファー』が弟の死に纏わる真相を知っていて、ヤツに勝たなければ真実にたどり着けないという展開ならもっと存在感を出せたと思います。
そもそも死んだキャラを活躍させるという事がもう難しいですが。