スティーブとペギー
まずは追加映像から。
映像は合計で4つありました。また本編における細かい修正等も確認できたので、1つずつ見ていきます。
1つ目は、ラストにスティーブとペギーが約束のダンスを踊るシーン。
本来ならエンドロールに入るタイミングで、突如玄関からノックが聞こえてきます。
「ここで来るか……!」と心臓がドキッと跳ねました。
スティーブは玄関の近くに隠れ、ペギーが来客に対応する事に。
現れたのはなんとロキでした。
君達2人の力になりたいと協力を持ちかけ、映像終了。
なるほど、ここでドラマのロキと繋がるんだ……。
『ドゥームズデイ』の予告でスティーブの再登場は決まっていましたが、あれはロキとの共闘で参戦という流れなのでしょうか……。
ちなみにエンドロールもダンスの曲から、『アベンジャーズ』のテーマに変わっていました。
静かな曲調で余韻に浸らせるよりも、次の戦いを予感させる方向性に舵を切ったんですね。
もちろんワクワクしましたが、正直元々のエンドロールが見たかったという気持ちが強かったです。
初見時よりも物語に没入し感動した分、余計にそう感じてしまったのかもしれません。
しかしそれこそ『アンコール』の意義でしょう。
私にとって本来のエンドロールは、劇中の出来事やMCUの思い出を振り返る時間でした。
だけど今回は逆。先の展開への期待、予想、疑問を頭の中で整理する時間。
『過去』に向き合う時間と『未来』に向き合う時間。
この別体験こそルッソ兄弟の狙いでしょうね。
見事に策略にはまりました。もう『ドゥームズデイ』が気になってしょうがないです。
まあ『エンドゲーム』自体、タイム泥棒で『過去』からインフィニティストーンを集め、世界を救う事で『未来』へと繋げる物語でもあります。
『エンドゲーム』で両体験を味わうからこそ大きな意味があるのかもしれません。
バナーとドゥーム
ロキの後、エンドロールの間に差し込まれたいくつかの映像。
その1つがバナーでした。久しぶりにハルクが暴走した事で、どこかの施設の地下に引きこもっている様子が描かれます。
一瞬別アースのバナーかと思ったけど、多分『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』の後日談かな?
その後、ドゥームと思しき声がバナーを誘拐。緑に輝く魔法陣が映されたところで映像は終わります。
今回は吹き替え版で見たのですが、恐らくドゥームの声は森川智之さんかな……?
自分の知る限りだと『ホワット・イフ…?』や『マーベルワンショット:相談役』でトニーの声を当てているし、他の作品でも藤原啓治さんの後任をよく担当されています。
ロバート・ダウニーJr演じるドゥームもまた森川さんが演じる可能性は高いですね。
ていうか何気に『ドゥームズデイ』にバナーとハルクの参戦が決まったのめっちゃ嬉しいんですけど……!
TVAとインカージョン
3つ目の映像はTVA。これまたドラマのロキとの繋がりが示されます。
モニターに映った複数のアース。その内の2つが互いに攻撃を飛ばし合ってる模様。
その直後、別のアース同士がインカージョンを起こし次々と消滅する異常事態に。
よくある事だと軽視していたメビウスもこれには困惑していました。
映像はここで終了。
ほ、本当にそれやるんだ……。
どこかで見ましたが、インカージョンを防ぐために隣のアースを破壊するヒーロー同士の戦いが原作にあるそうです。
『ドゥームズデイ』とその次の『シークレットウォーズ』はその展開を踏襲すると……。
最初聞いた時は「そんな特盛の『シビル・ウォー』みたいな戦い本当にやるの……?」と半信半疑でしたが、これを見るにやりそうですね。
んー、ヒーロー同士の戦いか……。
原作を知らないだけに不安ですね。
これ本当に上手くやらないと殆どのヒーローにヘイト向きかねない気がするんだけど、大丈夫なのかな……。
まあルッソ兄弟なら上手く撮ってくれると信じるしかありません……。
そもそも原作だって、聞いてたより読後感は悪くない話かもしれませんしね。
こういう話題になる度に、原作をしっかり読んでみるか初見で映画を味わうか迷ってしまいます。
アイアンマンからドゥームへ
最後にトニーが仮面を打つ音と共に幕を下ろした『エンドゲーム』。
4つ目の映像では、その音がドゥームの鳴らしていたものだと判明します。
ここまで来るとほぼ別作品ですね。
トニーが好きなだけに、最後の追憶に不穏な解釈を加えられたのは少し複雑です。
そもそもロバート・ダウニーJr復帰の時点で思うところがありますからね。
スティーブ演じるクリス・エヴァンスの復帰も同じです。
『エンドゲーム』で感動しただけに、1度退場した主人公達が戻ってくるのは蛇足じゃないかな……という想いが拭いきれません。
ただそれと同じくらい期待してるのも事実です。
どうせやるなら思う存分詰め込んでもらいたい。
せっかくフェーズ4以降音沙汰なしだった『アベンジャーズ』が戻ってくるんです。
もう観るしかありません。
頼むから面白くあってくれ……!!!
納得できる作品であってくれ……!!!
修正点
追加映像の他にも修正点が2ヶ所ありました。
(細かく見返せばもっとあるかも?)
1つ目は5年後の字幕が出るタイミング。
旧版では『Five Years Later(5年後)』とゆっくり表示されるタイミングで、食い気味に『5年後』と出ていたのですが、今回は違和感のないタイミングに修正されていました。
当時「早い早い…笑」と思っていたので、これは地味にいい改善ですね。
2つ目は「左失礼」の台詞。
物語終盤で、1人戦場に立つスティーブにサムが無線で語りかけるシーン。そこでサムの「On your left」という台詞が出てきます。
旧版では「左を見ろ」と訳されていましたが、今作で「左失礼」に修正。
これは『キャプテンアメリカ/ウィンター・ソルジャー』でスティーブが言った「On your left(左失礼)」という台詞を、『エンドゲーム』でサムが言い返すという粋な演出でした。
散々ファンから指摘されていたので、修正する絶好の機会だったんでしょうね。
私もこれはシンプルに嬉しかったのですが、少し翻訳者さんが気の毒だなとも感じてしまいます…笑
『アイアンマン』から『エンドゲーム』まで、作品数が膨大すぎますからね……。
その1作ごとの細かい台詞を的確に拾っていくなんて相当難しいでしょう。
まあプロだからこそ注意すべきと言われたらそれまでなんですが、これ映画史の中でもトップクラスにしんどい翻訳じゃないですかね……?
まあともあれ、元のニュアンスで台詞が聴けただけで『アンコール』の価値はあったと思います。正直、追加映像よりもここが一番興奮したかもしれません。
ソーについて
ここからはビッグ3への想いを語っていきます。
まずはソー。最初に『エンドゲーム』を見た時は、肥満状態に笑いつつも少し残念な気持ちがありました。
ソーと言えば『アベンジャーズ』の中でも群を抜いた強さで、『バトルロイヤル』ではハルク以上と言っても過言ではない圧倒的パワーを披露してくれました。
また『インフィニティ・ウォー』では6つのインフィニティ・ストーンが放つエネルギーを、ストームブレイカーで打ち破る描写もあります。
そんなソーが、集大成となる『エンドゲーム』で肉体的・精神的に弱体化したのですからそりゃ思うところはあります。
だけど改めて見返すと、あの挫折は必然だったのかなと思い直しました。
ソーは他の誰よりも大事なものを失っています。
1作目ではジェーンに会えなくなり、2作目では母を喪った。3作目では父、戦友、ムジョルニア、アスガルドを、『インフィニティ・ウォー』ではロキとヘイムダルまでも亡くしてしまいました。
これだけ喪失したのにソーはずっと戦い続けてきました。王族として、力を持つ者として、ヒーローとして挫ける訳にはいかなかったのでしょう。
だけどサノスに対しては違った。1度は追い詰めたものの、詰めの甘さで人類は半減。ストーンも消滅。今まで自分を支えてきた『力』では誰も救えない状況となります。
できる事と言えばサノスの首を落とす事だけ。
それは一体どれ程の苦痛でしょう。
自分のせいで人類が半減し、サノスから情報を聞き出す事も叶わなくなった。
絶対にそう感じていたはずです。
その結果、『エンドゲーム』でああなった。
力では誰も救えなかったから、それに対する執着が消え失せた。彼が自堕落な生活を送るには十分すぎる理由です。
そんなソーが、かつて喪った母と再会する事で自分を見つめ直し、再びムジョルニアを手にする。
胸が熱くなりました。
ソーは力を失ってからが本領です。
1作目も、3作目も、今作もそう。
例え全盛期でなくとも、正しい心を持って再びサノスに立ち向かったソーはまさしくヒーローでした。
そんなソーの『ドゥームズデイ』での活躍が今から楽しみです。
その反面、心配でもあります。
『エンドゲーム』のその後を描く『ラブ&サンダー』でソーはジェーンを喪い、ラブという娘を引き取っています。
え、まさか『ドゥームズデイ』でラブまで奪われるとかないよね?
子どもに焦点を当てたティザーが公開されたとはいえ、いくら何でもそこまでは……。
いや、でも監督がルッソ兄弟なんだよなあ……。
『インフィニティ・ウォー』でヒーロー達を次々と消し去っていくイカれた展開を叩きつけてきた2人です……。
何をやってもおかしくありません。
ソー、頑張ってくれ……。
キャプテン・アメリカについて
今作のラストでスティーブは別の時間軸でペギーと結婚し、幸せな人生を送りました。
ずっと延期されていたダンスの約束が、まさか『エンドゲーム』までの長い時間を経てようやく果たされるなんて当時は驚きでした。
この『It’s Been a Long, Long Time』という曲は戦争から帰還した兵士を恋人が迎えるというイメージで作曲されたそうです。実際、歌詞を読んでみるとそんな感じでした。
スティーブとペギーにピッタリですね。
原語だとスティーブはトニーの言葉で自分の人生を生きる決断をしたと明かしています。
タイムトラベルでそれを叶えた事を考えると、家族を手に入れたトニーが、スティーブにも同じものを贈ってあげたように見えていいですね。
思えばスティーブはずっとスターク家から大事なものを受け取ってるんだなあ。
ハワードから兵士としての盾を。トニーからはタイムトラベルで家族を。
本来は別作品のキャラなのに、ここまで切っても切れない関係になっているのは不思議な感覚です。
そういう想いもあってスティーブが報われた事には深く感動しました。ただ『ロキ』のシーズン1を見た後だと相当まずい事しちゃってて苦笑いですね笑
別の時間軸でペギーと結婚したなら当然彼女の人生は大きく変わります。SHIELD創設に携わるかも不明だし、シャロンだって産まれません。
何なら『ドゥームズデイ』のティザーで2人は子どもまで授かっています。
これTVA的にはかなりアウトじゃないでしょうか。
ロキがキューブで逃走しただけで変異体扱いなら、ペギーやその周りの関係者達だって当然そうなるでしょう。
それともTVA的にはスティーブの行動も織り込み済みだったのでしょうか。
まあシーズン2のアレコレで以前のような剪定は行わないでしょうが、スティーブのもとにロキが来たという事は何かしらトラブルが発生したのでしょう。
反則技で幸せを手に入れた分、スティーブにはまだまだ試練が待ち受けていそうです。
でもそうなると、サムの前に現れた老人スティーブって『ドゥームズデイ』の出来事を経験した後って事になるんでしょうか。
それともあれはまた別?
その辺の詳細が『ドゥームズデイ』か『シークレットウォーズ』で明かされたら嬉しいですね。
(まあなさそう……)
アイアンマンについて
今回最も心に残ったのはトニーです。
というのもトニーに対する思い入れが強いんですよね。
『アイアンマン』が公開された時、私はまだ小学生でした。Vジャンプに載ってた広告で興味を持ち、初めて1人で劇場に足を運んだのを今でも覚えています。
当時は『言動が面白いヒーローのおじさん』という印象でしたが、歳を重ね作品を見返すにつれ徐々にトニーの苦悩や悪癖、正義感を理解するようになり、1人の人間として惹かれるようになっていきました。
でもどれだけ年月が経っても彼を遠い存在と感じる事はなかったですね。
『アイアンマン』が終わった後も他作品で顔を見せる機会が多かったため、『そこにいて当たり前』と感じていたのかもしれません。
「また小気味いい会話を聞かせてくれるのか」
「今度はどんな装着シーンがあるんだろう」
そんな風に楽しみにしながらMCUを追っていました。
だけど『エンドゲーム』でトニーが死んだ時、自分の中で何かが切り替わる感覚がありました。
感動とか喪失感より先に、「トニーって死ぬんだ……」という漠然とした驚き。
そして、「自分はちゃんとトニーを見ていたのか?」という自問自答。
ここで死ぬならもっと細かい部分まで作品を観ていれば良かった。もっとトニーを理解していたかった、という不思議な後悔が押し寄せてきました。
それから久しぶりに『アイアンマン』を見返してトニーの若さに驚愕。
『アイアンマン』から『エンドゲーム』まで、それくらいの年月が経っていたんです。
そんな経緯があっての『エンドゲーム:アンコール』。あの日以来の劇場で、改めてトニーの勇姿を見届ける事にしました。
涙が止まりませんでした。
最初にペッパーと抱き合う所からもう泣きそうで、自分でも軽く引きましたね。
直前に『アイアンマン』3作を見返していたのもありますが、トニーと再会して涙を流すペッパーに自分自身を重ねてしまったのかもしれません。
劇場の巨大スクリーンや音響なんかも影響しているでしょう。
とにかく私はトニーの映る一瞬一瞬を噛み締めていました。
そして訪れるトニーの最期。
スナップでサノスが消えた後に私の涙腺も呆気なく崩壊しました。
トニーを看取るペッパー。葬式と遺言。トニーの好物を受け継ぐモーガン。一連の流れで鼻水と声を抑えるのに必死でした。
まるであの日流すはずだった涙を今日まで溜め込んでいたかのように感じましたね。
さて、そうやって劇的な死を遂げたトニーですが、それでも彼を遠い存在とは思いません。
彼は高潔なヒーローというより、ヒーローになろうとしていた1人の人間でした。
天才。金持ち。プレイボーイ。博愛主義者。
だけど好きな相手には弱く、気に食わない相手とは口喧嘩。皮肉屋で頑固。
おまけに好奇心や責任感が災いして世界に大きな亀裂を生みかねないトラブルメイカー。
でも正しい道を歩むのに必死だった。
そんなトニーだから私は好きだった。
そんなトニーがアイアンマンになったから一緒に戦えた。
3000回とまではいかないかもしれないけど、私もトニーを愛している。
少なくとも10年分くらいは。