ダメダメ出現
突如として町中で発生した『バツ印事件』。
事件を追っていたあんな達は元凶となった謎の生物『ダメダメ』に辿り着きます。
『ダメダメ』が巨大化した事で、4人は名探偵プリキュアに変身!
ま、まさかの同時変身……!映画で初解禁なの!?
直後OPが流れ、プリキュア達の激しい戦闘シーンが繰り広げられます。
それだけではありません。同時刻、別の時代で『キミプリ組』と『わんぷり組』が『ダメダメ』に遭遇。
待って、もう感情の整理が追いつかない!
同時変身解禁の驚き。
OPテーマと戦闘描写の興奮。
過去作のプリキュアに再会できた喜び。
3つの感情が同時に押し寄せてくる!!
普段の私なら衝撃に耐えきれず木っ端微塵に吹き飛んでいたでしょう。
しかしプリキュアを観る時の私は別です。
私の心は5歳の女児。
女児先輩のように無垢で広い心を持つ事で初めてプリキュアの感動を受け止められるのです。
目の前の光景と先の展開に胸を馳せ、私は思わずキュアアルカナシャドウのぬいぐるみをギュッと抱き締めました。
(周りが暗くて良かった)
不思議な庭
そんなプリキュア達の様子を見ていた妖精・レイン。
彼はキュアット探偵事務所を訪ね、ある依頼を出します。それは『「ダメダメ」出現に困っている、かりんという女の子を助けること』。
レインに案内され、不思議な庭にやって来たあんな達。
そこにいたのはかりん本人と妖精のアラン。2人に事情を説明したあんなは、一緒に『ダメダメ』の謎を解き明かす事にします。
そこへ『わんぷり組』と『キミプリ組』が時代を超えて合流!
挨拶程度ですが序盤から絡みがあるのは贅沢でいいですね。
こむぎに引っ張られるいろはや、みんなの前で歌を披露するうたなど懐かしの光景に微笑みが止まりませんでした。
そんな中、かりんは捜査に望むあんな達を羨みます。彼女には劣等感があり、何やら自己嫌悪に苛まれている様子。
その瞬間、突如として大量の『ダメダメ』が出現。
何とか対処しますが、アランは「お前達のせいだ」と言い残し、かりんと共に城内にとじこもってしまいました。
この段階でもう大体事情を察せますね。
ああ、今からお辛い話を見せられるんだろうな……。
城内突入
狼狽えるプリキュア達ですが、城内にも『ダメダメ』の魔の手が迫ります。
このままではかりん達が危ない。
レインの助けを借り、城内に突入。
しかし色々あって2組に分断される事に。
アンサー×エクレール、ミスティック×アルカナの珍しい組み合わせが生まれます。
さて、楽しい時間がやって来ました。
普段見ないペアというのは現実だと気まずいだけですが、創作だと美味しいポイントですからねー。
まずは『あんくれ』コンビ。
こちらは特に変化ありません。どちらも正当派な香りがする2人ですからね。ケーキ回の時点で2人きりの時間を過ごしたので慣れてるのかもしれません。
やはり注目すべきは『みくるる』コンビ。
るるかと2人きりの状況にみくるは少し緊張した様子。
(かわいい)
無口な先輩といたらそうなるよね……。
私だったらるるかと同じ空気を吸える喜びと無口な先輩への配慮で、1度も浮かべた事のない歪な笑顔になるかもしれません。
しかしみくるがるるかをアシストした事で、空気は変わります。
るるか「やるじゃない」
みくる「……!」←超笑顔
可愛すぎる。
みくるってアルカナシャドウの衣装を気に入ってたり、結構るるかに憧れてるっぽいんですよね。
そうだよねぇ。元々『名探偵プリキュア』に憧れてたんだから、現役の先輩から褒められたらそりゃ嬉しいよねえ。
ていうかみくるは最初自信がない子だったので、こうして認められるのが救いになってそうだなあ。
(悲しいのか微笑ましいのか……)
この短いやり取りだけで軽くプリキュアパンを10個くらい飲み込めそうですが、物語はまだ中盤。
道中で倒した『ダメダメ』が落としていった宝石を拾うと、あんな達にアラン視点の記憶が流れてきます。
そこにあったのはアランに優しく声をかけてくれたかりんの姿。
最初は元気だった彼女ですが、テストで悪い点を取り、友達に声をかけられず、何もかも上手くいかなくて塞ぎ込んでしまいます。
(やっぱりそういう展開ね……)
合流する4人。既に全員答えを閃いている様子。
(何気に羽根が舞い散る空間に4人がいるの初めてかも)
キュアアルカナシャドウ降臨
解答を手に入れ、かりんのもとに駆けつけるあんな達ですが、そこにアランが立ちはだかります。
るるかとくれあが足止めし、あんな達はかりんのもとへ。
ここから『あんみく』と『るるくれ』パートが交互に描かれるのですが、言葉でかりんを説得しようとする前者と、戦闘でアランと語り合う後者の対比が面白かったです。
キラメキタイムで暴れ回るエクレール。
目を回すエクレールをカバーするアルカナ。
そんな2人と渡り合うアラン。
手に汗握る戦いの中、アランがかりんのために『不思議な庭』を生み出したという真実が明らかになります。
劣等感に苛まれるかりんが他人と関わらないで済むように、2人きりの空間に閉じ込めてしまったのだと。
しかしそんなアランの迷いから生まれたのがレインでした。
『名探偵プリキュア』に助けを求めたのは、他ならぬアラン自身だったんですねー。
そんなアランの心情を理解し、アルカナはマシュタンからあるアイテムを受け取ります。
そう、それはつい数話前にゴウエモンから渡された罪の証!
光に包まれ現れたのは、藤色のステッキを片手に持った少女でした。
漆黒のドレスにアメジストの装飾。
風になびく黄金の長髪。頭部に頂く星形のティアラに黒のリボン。
その静謐な佇まいから想起する単語は2つ。
神秘と秘密。
そう、彼女こそ……。
神秘と秘密で包み込む、キュアアルカナシャドウ。
う……ッッッ、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!
迷宮に誘われるううううううううううう!!!
予告で知ってはいましたが、いざ本編で見ると熱いですね。
しかもただの再登場じゃなく、きちんと文脈があるのがたまりません。
1人で全て抱え込み、後悔や迷いがありながらも大切な人のために突き進むしかない。そんな相手が目の前にいる。
アランはかつてのるるかです。
ならかつての自分が示すしかありません。
例え間違っても仲間と一緒ならやり直せるんだと。
アルカナシャドウは過去の過ちであり、未来へ進んでいく象徴なのですから。
あんなとかりん
一方、かりんの部屋に辿り着いたあんな達。
あんなはかりんに歩み寄ろうとします。
辛い気持ちはわかる、と。
しかしそれがまずかった。かりんは思わず叫びます。
「わかるだなんて言わないで!」
自分はあんなとは違う。この痛みが理解できる訳がない。そういうネガティブな感情が一気に噴出した瞬間でした。
気持ちはわかるなあ。
自分より格上の人間が『わかる』と言ってしまえば、同じ痛みを知っていながら何故自分より上手く立ち回れる?自分は下位互換でしかないのか?
とますます不満が溜まっていきます。
大体、『わかる』と言って手を差し伸べてる時点で対等じゃありません。
今苦しんでる自分が、後々成長して同じように誰かに手を差し伸べてるイメージも湧かない。
やはり自分と相手は違う。
この痛みは自分だけのもの。それを知ったような口で語ってほしくない。それすら『共感』で奪われたら自分は本当に空っぽになってしまう。
しかもその痛みが相手にとって『乗り越えた過去』なら、未だに苦しんでいる自分が余計に惨めになる。
立ち止まってる自分と、前に進んでいる相手。
そこを分ける何かが自分にないもので、相手の持っているものなんでしょう。
それを手にするまでに一体どれほど苦労しなくてはならないのか。乗り越えられるほどの才能が自分にあるのか。最後まで自分を信じられるのか。
大体こんな感じではないでしょうか。
私自身は普段ここまで拗らせていませんが、他人からの安易な共感は真に受けないようにしてますね。
結局、乗り越えなきゃいけないのは自分なので。
かりんが同じように感じてるかはわかりませんが、近い感情じゃないかなと思います。
もしかしたら『ダメダメ』が色んな物の動きを止めてしまうのは自分より先に進んでほしくないという、かりんの願望かもしれません。
ただここでショックを受けるあんなも気の毒です。
『わかる』と言ってしまった事を後悔しますが、ならどう言えば良かったの?という話です。
わからないけど頑張れ。とりあえず立て。
そんな冷たい言葉を落ち込んでる相手に言えばいいの?
そんな訳がないからあんなは優しく歩み寄ろうとしたはずです。
例え相手にとって失言でも、そこには確実に優しさがあった。
それすらも拒絶されるなら、「じゃあそのまま落ち込んでろ」と言いたくなってしまうでしょう。
でもそこで止まってはいけないよ。というのが今作の伝えたい事なんでしょうね……。
(なんでプリキュアの映画でこんな気持ちになってるんだろ……)
しかも状況は更に悪化します。
『ダメダメ』が現れた原因がアランにあると判明した事で、彼も激しい自己嫌悪に陥ります。
自分がかりんを苦しめていたんだと。
アランにも反応した『ダメダメ』は今までの比にならないレベルで膨張し、かりんとアランを飲み込んでしまいます。
しかも『ダメダメ』の一撃でプリキュア達は全員ダウン。あんなは鬱モードで瞳にハイライトがありません。
ヤバい、あんなも自己嫌悪モードになってる。
このままだとあんなまで『ダメダメ』に取り込まれるのでは……と冷や汗が止まりませんでした。
しかしここでみくるの出番です!
あんなを叱咤激励し、彼女の瞳に光を取り戻します。
1人で抱え込んではいけない。仲間と一緒なんだと。
これが今作の答えでしょうね。
かりんは1人で抱え込んだ。アランも独断で庭を作った。
でもあんなは仲間に励ましてもらった。
レインは名探偵プリキュアを頼った。
仲間を増やした事で事件が解決に向かい始めた。
最初から答えは示されていたんですね。
思えば『名探偵プリキュア』自体そういう作品でした。
あんなは母親に会えない寂しさから独断行動し、ポチタンを危険に追い込んだ。
みくるはあんながいなければ(恐らく)プリキュアになれなかった。
るるかは全て自分で決めたから怪盗団ファントムで悪事を働く羽目になった。
くれあは仲間のアシストがなければキラメキタイムのデメリットで負けてしまう。
1人ではなく仲間と一緒に進んでいく。
だから『たんプリ』はあんなとみくるのコンビから始まるし、バラバラになったるるかとくれあを繋げてくれた訳ですね。
(たんプリ面白いな)
例のライト
力を失ったプリキュア達。
そんな中、立ち上がったのはポチタンでした。
アランが作った宝石を集めると、それが例のライトに変わります。
客席の子ども達がフライングで明かりを灯していくのが微笑ましかったですね。
自分も心の中でライトを照らしていると、『キミプリ組』と『わんぷり組』が颯爽と駆けつけてくれました。
先ほどまでの暗かった空気が2組のおかげで払拭されていくのが嬉しかったです。
特にキュアアイドルは前作の映画で一気に好きになったので余計に感慨深い。
『わんぷり組』は『ダメダメ』に寄り添い、『キミプリ組』はアイドルらしく笑顔にしようと各々のやり方で戦っていきます。
しかも悟と大福まで変身するおまけつき!まさかのサプライズに思わず声が漏れました。
プリキュアは女の子メインだけど、男の子も活躍するとそれはそれでテンション上がるんですよねー。
そんな先輩達と我々の応援に背中を押され、『たんプリ組』も再び立ち上がります。
そしてなんと、映画限定の強化フォームに変身!
白を基調とした衣装は、もはや探偵というより天使ですね……。
それぞれ装飾が違っていて、特にエクレールのつば広ハットがお姉様って感じで素敵でした。
強化フォームで存分に暴れ回る『たんプリ組』。
各々の必殺技であんなの進む道を切り開いていくのが格好良かったです。
『ダメダメ』の中にたどり着いたあんなはかりんと再会し、先ほどの失言を謝罪。
失敗も同じ一歩であり、仲間と一緒に進んでいく事が大事だと伝えます。
かりんにとってのそれはアランです。
勇気を出したかりんは『ダメダメ』の束縛から抜け出し、取り残されたアランへ今までの感謝を伝えます。
ここであんな達の合体技により巨大な花が出現するのですが、かりんの想いが乗った事でもう1枚花びらが増えるのが熱かったですね。
結果、無事にアランの救出に成功。
事件が解決された事で、迷いのなくなったアランはレインと1つになります。
レインのいた証を残すようにアランがオッドアイになっていたのが地味に嬉しい。
そして最後にかりんがアランと家の外に出たところで、物語は終わります。
シンプルな分スッキリする終わり方でしたね。
ただ推理に関しては少し気になりました。
今回決め手となったのはアランの宝石ですが、『触れた人間に他人の記憶が流れ込んでくる』特殊なヒントがあるなら、別に探偵じゃなくても真相にたどり着けるでしょう。
どうせなら『ダメダメ』出現の裏にトリックを用意して、それを見破った先にある何かと対峙させてほしかったですね。
視聴者がプリキュアと一緒に考えられる要素が多ければもっと探偵っぽさを出せたのかなーと思いました。
まあそれだとTVアニメ本編と同じ型なので、特別感は薄れるかもしれませんが。
ただ妖精の耳が動く伏線などは面白かったし、そもそも子どもが楽しんで見られる事が最優先なので、そこまで不満はありません。
むしろ全体的に楽しめました。