冒頭
物語の冒頭は、伝説の殺し屋・坂本太郎がたった一人で悪の組織を壊滅させる大迫力のアクションシーンから幕を開けます。
かつて「全ての悪党から恐れられ、全ての殺し屋の憧れ」とまで称された坂本ですが……ある日、恋をしたことをきっかけに殺し屋をあっさりと引退。結婚、そして子宝にも恵まれ、坂本はすっかり太ってしまいました。
冒頭の華麗なアクションから一転。ふくよかな姿で寛いでいるというギャップに、思わず笑ってしまいました。
アクションシーンでは、坂本を演じる目黒蓮さんの大迫力の身のこなしについ見入ってしまいます。一方で、葵に一目惚れした瞬間の変顔やコミカルなシーンへの振り幅が見事で、かっこよさと面白さのギャップが素晴らしいと感じました!
朝倉シン
殺し屋を引退した坂本は、『坂本商店』という小さな個人商店を営んでいました。
ある日、店内で遊んでいた男子小学生が、いかにもガラの悪そうな男性客に誤って墨汁をかけてしまいます。それに怒った男が子供に殴りかかろうとしたその瞬間、間に入った坂本が男の喉元をボールペンで一突き……と思いきや、それはあくまで坂本の脳内イメージで、実際には男の腕を掴んで子供を守りました。
すると、その一部始終を見ていた青年が「ボールペンで下あごから頸動脈を一突き。僕には視えました」と声を掛けてきます。
彼の名は、朝倉シン。人の心が分かる『エスパー』でした。
レジカウンターに腰掛けるシンの生意気な態度に、すかさず首の骨をへし折る……というのも坂本のイメージでしたが、人の心が読めるシンには、坂本の『殺すイメージ』がダイレクトに伝わり、冷や汗をかくのでした。
実は、シンは坂本の殺し屋時代の元部下。彼を裏社会へ引き戻すためにやってきたのですが、坂本にあっさりと断られてしまいます。それでもなお、「やっぱかっけぇーなぁ~!」と坂本に憧れているシンの姿にほっこりします。
その後、シンのもとに組織のボスから一本の電話が入ります。
「組織を抜けたヤツは、殺すのが決まりだ」と、坂本が殺し屋に戻らないなら殺せとシンに命令するボス。さらに「お前の代わりはいくらでもいる」と告げられ、シンは他の誰かが殺すくらいなら自分の手で殺すと決意を固め、再び店に戻って坂本に拳銃を向けました。
しかし、坂本は口に含んでいた飴玉を飛ばし、銃弾をいともあっさりと弾いてしまいます。
そこから店内(コンビニ)での戦闘シーンが始まり、坂本のユニークな戦い方が面白く、見ていて楽しかったです。特に輪ゴムで飴玉を飛ばし、銃弾さながらの破壊力でドリンクコーナーのガラスを粉砕するシーン。とんでもない威力です……。
そして、ふくよかな体型でも素早い身のこなしで商品棚の間を移動し、蹴り一発でシンを戦闘不能にするアクションは迫力満点です!!
圧倒的な実力差で無力化されてしまったシンは「殺してください」と懇願しますが、しかし坂本は「坂本家の家訓は『ノーキル』」と、答えるのでした。
その後、坂本の心を読み、妻・葵との思い出を知ったシンは、坂本家の日常を守るために単身で組織のボスのもとへ乗り込みます。
ボスに自らの命と引き換えに坂本を見逃すよう懇願しますが、エスパーの能力でボスの嘘を見破り、大勢の殺し屋たちを相手に単独で大立ち回りを演じることに。
ここでは、心を読む能力を駆使して敵の位置を把握しながら戦うアクションシーンが見ごたえたっぷりでした。しかし、ついにビルの屋上へと追い詰められてしまったシン。そこに坂本が颯爽と現れ、金属バットで敵を一網打尽にします。
さらに、激しい運動でカロリーを消費すると一時的に痩せるという坂本の特異体質には思わず笑ってしまいました。同時に、全盛期の体型に戻って戦う姿がめちゃくちゃカッコよかったです! あと、目黒蓮さんがイケメンすぎる……!!!
最後はボスに豪快な『ジャーマン・スープレックス』を決めて気絶させ、シンを連れて帰宅する坂本。坂本家で一緒に食卓を囲み、家族の温かさを知ったシンは後日、坂本商店のバイトとして雇われることになるのでした。
遊園地
ある日の休日、坂本一家(妻の葵、娘の花)とシン、そして『坂本商店』のバイトである陸少糖(ルー・シャオタン)たちは遊園地を訪れていました。
しかし、シンの一件の後、坂本に『10億円の懸賞金』が掛けられたことで、数多の殺し屋たちがこぞって坂本の命を狙っていました。
家族団らんの場であるはずの遊園地にも殺し屋たちが潜んでおり、坂本、シン、ルーの3人は、妻と娘に一切気付かれないよう密かに敵を撃退するという作戦に出ます。
そして登場したのは、毒使いのタツ。
ここでは何といっても、ジェットコースター上での戦闘シーンが凄まじく、かなり見ごたえがありました。さらにヒーローショーに紛れ込んだシンが、遊園地のマスコットキャラクターの着ぐるみを被ったまま戦うシーンも印象的でした。
坂本の協力もあり、なんとかタツを撃退したシンでしたが……10億の首を狙う刺客はまだまだ潜んでいます。
その後、一行はお化け屋敷へと足を踏み入れます。しかし、ゾンビの集団が襲ってきたどさくさに紛れて坂本、シンとルーが分断されてしまいました。
孤立した坂本の前に現れたのは、サングラスにニット帽姿の殺し屋・ボイル。どうやら過去に坂本から傷を負わされた因縁があるらしく、「俺を覚えているか?」と問いかけますが、当の坂本はまったく覚えていませんでした。
そんなことより逸れた妻と娘を探しに行こうとする坂本とボイルのやり取りがまるでコントみたいで、思わず吹き出してしまいました(笑)。
その後、ついに坂本とボイルの戦闘が始まります。
ボイルは『スーパーボール型の爆弾』と『ロケットダイナマイトパンチ』を駆使した攻撃で猛攻を仕掛け、坂本を追い詰めます。しかし、カロリーを消費して痩せた坂本が「ここからは本気でいかせてもらう」と言い、大切な人を守るために戦うという『強さ』を発揮してボイルを撃破するのでした。
一方、坂本と逸れたシンとルーの前には、ボイルの相棒である女殺し屋・帯黒が立ちはだかります。ルーは気絶した葵と花を連れて逃げるようシンに伝え、太極拳で応戦。しかし、帯黒の攻撃に苦戦を強いられます。その時、ポケットに忍ばせていた酒瓶を飲み干し、ベロベロに酔っぱらった彼女は、なんとジャッキー・チェンさながらの『酔拳』で帯黒を圧倒します。とどめを刺す直前に酔いから覚めたルーが、ボロボロの帯黒を心配するシーンにはつい笑ってしまいました。戦っている最中の記憶ないんですね……(笑)
一難去って、お化け屋敷の外のベンチで目を覚ました葵。「お化け屋敷が怖くて気絶していた」と誤魔化すシンですが、夫の隠し事に勘付いた葵は、坂本とシン、そしてなぜか敵であるはずのボイルまで正座させ、厳しく問いただします。
坂本家の家訓その6は「隠し事をしないこと」。
10億円の懸賞金をかけられ命を狙われていることを黙っていた坂本に対し、普段のほんわかとした姿からは想像も付かないほどブチ切れる葵。伝説の殺し屋でも妻には頭が上がらないらしく、凄腕の殺し屋であるボイルまでビビっている姿が面白かったです。
実は、その裏でもう一人、坂本の首を狙う刺客が遊園地に潜伏していました。
凄腕スナイパーの眞霜平助(ましも・へいすけ)。ところが彼は射的コーナーで周囲の子供たちに銃の腕前を披露してちやほやされているうちに、そのまま閉園時間を迎えてしまいました。ところどころ、平助がアホすぎて笑っちゃいました。
一番好きなキャラクターです(笑)
X(スラー)
遊園地での一件で妻に隠し事がバレてしまった坂本は、自身にかかった懸賞金を取り下げさせるため、『どんでん会』という組織を襲撃します。しかし、シンと共にアジトへ乗り込んだものの、到着した頃にはすでに組織は壊滅状態に陥っていました。
現場には、かつて坂本も所属していた殺し屋の特殊部隊『ORDER(オーダー)』の姿がありました。しかし、どんでん会を潰したのは彼らの仕業ではないようで、同業者を狙う謎の組織が絡んでいることが判明します。
犯行現場に必ず「X」の文字を残していくことから、『X(スラー)』と呼ばれる殺し屋殺し。
ここから物語が大きく動き出します。
場面は変わり、娘・花の小学校の入学式当日。坂本はシンとルーに店番を任せ、入学式へと向かいます。このシーンでは、ビデオカメラで花の動画を撮りまくる坂本の親バカっぷりがシュールで笑ってしまいました。
一方で、留守を預かったシンとルーは些細なことから口論に。ルーの一言に激怒したシンは店を放り出して、どこかへ行ってしまいます。
その後、ルーが一人で店番をしていると、突如白い防護服を着た集団が現れます。なんと彼らはルーを坂本の妻・葵だと勘違いして連れ去ってしまいました。
頭を冷やしてシンが店に戻った頃には、店内は荒らされており、レジには「お前の妻を預かった」という坂本宛ての脅迫状が。さらに、そこには「X」の文字が残されており、この誘拐が謎の組織『X(スラー)』による犯行であることが判明します。
研究所
花の入学式から帰宅した坂本は、事態を知るや否やシンと共にバイクに跨り、誘拐されたルーの救出へと向かいます。スマホの位置情報を頼りに追跡してたどり着いた先は、なんとシンが幼少期を過ごした『研究所(ラボ)』でした。
かつて身寄りのなかったシンは、このラボの所長である朝倉に引き取られて育ちました。
ある日、寝ぼけて所長が作った薬を飲んでしまったことで、他人の心が読める能力『エスパー』に目覚めたのです。しかし、そんな能力を得たことで「心が読めるなんて気味が悪い」という研究員たちの本音を知ってしまい、シンは研究室を飛び出して今に至るのでした。
研究所(ラボ)に潜入した坂本とシンは、併設された博物館エリアに迷い込みます。
すると突然、展示されていたティラノサウルスの骨格標本が動き出し、二人に襲いかかってきました。坂本が恐竜の口に仕掛けられた機械を拳で破壊したことで事なきを得ますが、いくら模型とはいえ、素手でティラノサウルスと渡り合ってしまう坂本が強すぎます……。
その後、研究室にたどり着いた二人は防護服の集団を制圧して囚われていた研究員たちを解放。彼らからルーが監禁されている場所を聞き出し、シンが救出へと向かいます。
一方、坂本は『X(スラー)』を直接叩くため、単独でトナカイの被り物をした男・鹿島のもとへ向かいました。しかし、坂本が到着するとそこには先客が……。
殺し屋の特殊部隊『ORDOR(オーダー)』の神々廻(ししば)と大佛(おさらぎ)が、鹿島と激しい戦闘を繰り広げている最中でした。
ところが、ORDORの二人は「別の用事がある」と言い残してその場から立ち去ってしまい、残された坂本が鹿島を相手取ることになってしまいます。
その頃、ルーを助け出すため地下通路を進んでいたシンは、白い防護服集団の一員である勢羽夏生(せば なつき)と対峙します。勢羽が着用する『透明になるスーツ』に翻弄され、苦戦を強いられるシン。そこに凄腕スナイパー・眞霜平助が助太刀に現れ、二人は協力して勢羽と戦います。
平助の機転の効いた射撃もあって見事勢羽を打ち破った二人は鍵を奪い取り、無事にルーと囚われていた朝倉所長を助け出すのでした。
序盤では完全にギャグキャラとして描かれていた眞霜が、ここぞという場面で活躍するのがカッコよすぎました……! アホさとカッコよさのギャップが良すぎる!
一方その頃、坂本は鹿島と激しい戦闘を繰り広げていました。
実は鹿島は体の70%が武器で構成されたサイボーグ人間で、腕から銃器やナイフを出し、ワイヤーを放ち、さらにどれだけ攻撃してもノーダメージというロボットさながらの不死身っぷりを見せつけます。
そんな死闘の最中、突如として坂本の携帯が鳴り響きます。着信は妻の葵からで、坂本は殺し合いの途中であるにも関わらず平然と電話に出ました。そんな坂本の行動に戸惑う鹿島。
ここでの鹿島と坂本のやり取りがシュールで、シリアスなアクションシーンから急なギャグ展開に思わず笑ってしまいました!
葵から「花の入学祝いをするから早く帰ってくるように」と急かされ、坂本はついに武器を取り出します。しかし、その武器というのは、なんとシャーペン、チラシ、そして半額シールでした(笑)
「武器の性能に頼るのは三流だ」という言葉通り、ただのチラシで強靭なワイヤーを切断し、半額シールで相手の視界を奪って躍動する坂本。全身武器人間の敵と日用品で戦うという世界観のギャップが面白く、チラシでワイヤーを切られた鹿島が思わずツッコミを入れるシーンが特にお気に入りでした!
そして戦いはさらに激化し、坂本は地下の壁をぶち破って地下鉄の車両へと飛び込みます。これまでの激闘でカロリーを大量に消費した坂本は『スマートな姿』へと変貌し、ついに本気モードに突入です!
坂本家の家訓『ノーキル』で不殺の縛りがある坂本ですが「不死身が相手なら、殺す心配はない」と告げ、その言葉通り圧倒的な戦闘能力で鹿島を追い詰めます。
すると、鹿島はラボの研究員たちに作らせた『人を凶暴化させる薬』を乗客たちに注射して暴徒化させます。一般人には手出しが出来ず、乗客たちに取り押さえられてしまう坂本。
その時、シンが車両に飛び込んで来て坂本を援護します。彼は朝倉所長から受け取った解毒薬を乗客たちに飲ませて正気に戻し、自由になった坂本が見事鹿島を撃破するのでした。
場面が変わり、鹿島によって爆破された研究所から無事に脱出したルーや朝倉所長、研究員たち。そこへ鹿島との死闘を制した坂本とシンも合流します。
かつて研究員たちの「気味が悪い」という本音を知り、研究室を飛び出したシン。ですが、今の彼に聞こえてきたのは、その帰りを歓迎する研究員たちの温かい心の声でした。
シンは過去のトラウマを乗り越え、改めて朝倉所長や研究員たちとの再会を喜ぶのでした。
そして翌日。坂本商店には、すっかり元のふくよかな体型に戻った坂本の姿がありました。
懲りずにやってくる刺客たちを、シンとルーが手際よく成敗する。そんなドタバタで平穏な「坂本家の日常」が戻り、本作は幕を閉じるのでした。