謎の求人募集
物語はちいかわ、ハチワレ、うさぎの3人が謎の求人募集のチラシを確認する所から始まります。
恐らくこの3人がメインキャラ――いわゆる『いつもの3人組』なのでしょう。
『ちいかわ』とコラボした『劇場のマナー講座』でもこの選出だったので、何となく察していました。
募集内容は謎の島での討伐任務。
(モンハンかな?)
意気揚々とする一同ですが、美味すぎる報酬に師匠ポジっぽいラッコは怪しみます。
このラッコ、可愛らしい外見に反して頭部にいかつい傷跡が……。
どうやら討伐って普通に命の危険を伴うものみたいですね。そしてラッコは深手を負っても生還できるほどの強さと経験があると。
声も1人だけ渋いし……笑
そんなラッコですが、報酬のご馳走にまんまと釣られ、ちいかわ達と参加を決意してしまいます。そこは抗えないんか……。可愛いなこの師匠。
島上陸
まんまと闇バイトに乗せられノリノリで島に向かうちいかわ達。
島民から可愛らしい歌やたくさんの屋台で歓迎され、正にお祭り気分。
他にもネームドキャラと思しき面々が大集合します。中には見た目が動物なだけで普通に中年のおっさんも混じっていました。
(朝から焼きそばつまみに飲酒してんのイカツイな……)
ていうかモブはみんな黒塗りで統一されてるんですねー。確かにみんな動物だしその方がわかりやすいかも。
その夜、ちいかわ達は人魚の住む洞窟へと足を踏み入れてしまいます。
そこでセイレーンという巨大人魚に襲われる羽目に。
どうやらセイレーンは仲間の人魚を食べた犯人を探しているそうです。
人魚を食べた者は永遠の命が手に入る。だから犯人を永遠に暗い海の底に沈めてやるんだと。
雲行きが怪しくなってきた……。この手のテーマでまともな結末を迎えるイメージがない。
当然ちいかわ達は無関係なので、誤解を解いて逃がしてもらいます。
セイレーンって変に人間味があって会話が通じる分、仲間を殺された点に関しては一切譲らないんだろうなあ……。
『なあなあで終わらせない』という容赦のなさが序盤から静かに伝わってくるようでした。
島民の思惑
島民達の村に戻るちいかわ達。ここで討伐の報酬が嘘だったと明かされます。
その分、祭りや屋台で歓迎したのでセイレーンを討伐してほしいと。
普通になめてんのかって思いましたね。
可愛い絵柄だから許せるけど、命懸けの任務で何嘘こいとんのよとモヤモヤしました。
当然、騙された者達は一斉に逃げ出します。
残ったのはネームドキャラのみ。少ない人数ですが寧ろこれだけ残るだけでも奇跡でしょう。
まあ島民の気持ちもわかります。
セイレーンは島民が犯人を差し出すまで虱潰しに捕食しているようです。
一瞬でさらわれていく所に弱肉強食の生々しさを感じてゾッとしました。
この恐怖を日常的に味わってるならそりゃ嘘で大勢呼び寄せたくもなるか……。
そんな中、セイレーンが村に襲来。
応戦するラッコですが、呆気なく捕まってしまいました。
歴戦の猛者ですら歯が立たない絶望的な状況。
しかし残されたちいかわ達はラッコを救出すべく、武器を手に立ち上がります。
モモンガ(なんか小さくてヤバいやつ)
いつもの3人に新たな仲間を加え、早速セイレーン討伐へと向かう流れに。
いつセイレーンと遭遇するか。このパーティで勝てるのか。
そんな緊張感漂うシークエンスのはずが、ここに来てそれら全てを塗り替える珍獣が頭角を現します。
その名はモモンガ。
こいつは連帯感や緊張感を微塵も持たないわがままな動物です。飴玉と永遠の命を食らう事だけを目的に、自由気ままに立ち回る図太さを備えています。
しかもその立ち回りが災いして周りのキャラを何度か最悪の状況に巻き込む始末。
尻拭いをするのは他キャラで、自分の失態を自覚して責任を取ろうとするシーンはありません。
なんか小さくてヤバいやつ。そんな印象です。
しかし不思議なもので、作中で1番心惹かれたキャラは?と尋ねられたら、モモンガと答えるでしょう。
欲しい物への素直な欲求。それを隠す事もしない堂々とした振る舞い。当然そこに他者へのリスペクトなど欠片もありません。
真正面から浴びれば目元の痙攣が止まらなくなるレベルのウザさですが、あまりにキャラが一貫していたからか一周回って好きになってしまいました。
自分は敵キャラを愛好する傾向があるので、その辺の琴線に触れたのかもしれません。
(仲間なのにそれでいいのか……)。
そして、いよいよセイレーンと対峙したちいかわ達。モモンガが永遠の命を狙ったせいで話し合いは叶わず、戦闘が始まります。
(モモンガ〜〜〜ッ)
二手に別れ、ちいかわサイドとハチワレサイドでそれぞれの攻防が描かれます。
うさぎのラップや古本屋とのやり取りに和みながらも、セイレーンの攻撃を格好良くいなすうさぎ、ラッコの武器を受け継いで戦うハチワレなど、手に汗握る展開にまんまと感情を右に左に揺さぶられてしまいました。
可愛いけどどこかシリアス。
『ちいかわ』が持つ魅力の一端を垣間見た気がします。
しかし世の中にはそんな感動を容易く困惑へと塗り替えてしまう異形が存在するのです。
それはモモンガ。
辞書で珍獣と調べると類語にモモンガと出てくる事間違いなしなこのキャラは、何の悪びれもなく橋を崩落させちいかわを窮地に追い詰めます。
味方に殺されかけるまさかの事態ですが、橋のたもとを掴み何とか落下を免れます。
しかし指先だけでしがみついてる状態なのでピンチに変わりありません。
もし目の前で今にも落ちそうな仲間がいれば誰しも手を差し伸べるでしょう。
だけどモモンガは違う。
ちいかわを助ける素振りもなくこう言います。
「飴玉を口の中に転がし入れろッ」
お前、主人公殺しに来たんか……?
今ちいかわの命が奈落に転がし入れられるか否かの瀬戸際なのに呑気に飴玉を口に放り込む余裕なんかなかろうて。
しかしそれに気づいたモモンガはちいかわを引き上げてくれます。雑に両耳を引っ張ってるところに思わず笑っちゃいました。もっとやさっしく引き上げてあげて。
謎の助っ人
しかしながら結局、仲間達はちいかわを残しセイレーンに拐われてしまいます。
敗北を喫し1人森林を彷徨うちいかわ。
そこにカレー屋を営む島二郎というキャラに出会います。
普通におっさんじゃん……。
今まで守ってきた『なんか小さくて可愛いモチーフ』を彼方までぶっ飛ばして、ムキムキの頼れるおっさんが急遽仲間入りです。
これは心強い。
一瞬、こいつが人魚を食べた犯人か?と疑いましたが最後まで普通にいいおっさんで安心しました。
人魚を食べた者のお尻には何かが出現するという設定なので、ありのままの尻を見た時は安堵しました。
おっさんのケツを見てホッとしたのはこれが初めてです。
島二郎の助けを借り、ちいかわは何とか仲間達の救出に成功します。
途中でセイレーンに追いかけられるも、島二郎が魚人空手でしんがりを務めてくれました。
もうほぼワンピースのジンベエですね。
最終決戦
島二郎のおかげで無事に帰還したちいかわ達。
歌声で戦うセイレーンに対して、激辛カレーを作って討伐する事に。
そこは可愛いんだ……。
島民と共に料理を作り、いよいよセイレーンとの最終決戦。
後で友人に聞きましたが、ハチワレが「なんとかなれー!」と叫ぶ時は大概上手くいくので1度セイレーンに防がれた時に絶望感を抱くそうです。
長編っぽいなあ……。いつものお約束が通じないシリアスな展開ですね。
なんとかならなかったハチワレ達。しかし島二郎が駆けつけてくれた事で形勢が逆転。島二郎特製のスパイスを混ぜて再度挑戦します。
駆けつけるのは島二郎だけではありません。
「おい、これをやれば本当に美味いもんが食えるんだろうな〜?」
も、モモンガああああああああああああああああああああああああああッ!!
共闘時の敵しか言わないような台詞すぎるだろ……。
お前やれるのか!?名誉挽回なるのか!?
結果、モモンガ、うさぎ、くりまんじゅうの加勢でセイレーンのリズムを狂わせる事に成功。
しかしモモンガは不満な模様。
「美味いもんが食べたいんだよーー!!!」
どんだけ食い意地あるんだよ。
飴玉転がし入れるだけじゃ足りんのか。
その後もみんなの個性や特技を活かして、強化版激辛カレーを何とかセイレーンの口にぶち込み入れます。
見事にセイレーンの歌を封じる事ができました。
悶え苦しむセイレーン。島民が一斉に取り囲んでリンチ直前まで行くのが恐ろしかったです。
「本当にこれが正しかったんだよね?」というハチワレの呟きが頭に残りました。
まあでも仕方ないよなあ……と飲み込もうとした自分が嫌になりそうでした。
そして『ちいかわ』でこんな感情にさせられてる自分を自覚して更に嫌になりそうでした。ていうか嫌でした。何だこのアニメは……(困惑)。
辛さに苦しむセイレーンは尻尾でちいかわを叩き潰そうとします。
しかしここでフタバが庇い、動かなくなってしまいました。
誰も傷つけないでと懇願するハチワレ。
セイレーンは「わかった、わかった!」と叫んで海へと逃げていきます。
戦いは、ちいかわ達の勝利で終わります。
真実
動かなくなったフタバを看病するヒトハ。
ちいかわはそこでヒトハがフタバのお尻に単三電池をはめ込む瞬間を目撃します。
直後に起き上がるフタバ。ここで永遠の命=単三電池と判明します。
まあ犯人はこの2人よね……。
ハチワレ達の救出に向かう2人が少し人魚っぽい泳ぎ方をしてたのが気になってました。
(関係ないかもしれないけど)
ていうか最初の炭酸ってワードにビビってたのはそういう事だったのね……。
色々繋がってきて面白かったです。
そして肝心の謎。何故2人は人魚を食べたのか。
回想でフタバが1度セイレーンに殺されていた事が発覚します。
無自覚の事故とはいえ、許せないヒトハ。
フタバを生き返らせるため、人魚を撲殺して食べさせる事に。
音だけで撲殺を仄めかしていたのが生々しかったですね。逆に直接映すより怖いわ。
永遠の命を得たフタバは、いつか孤独になる事を恐れてヒトハにも人魚を食べさせます。
こうして2人で永遠を生きる運命になったと。
マジ何なんだこの物語はよ……。なんでこんな悲しい気持ちにならなきゃいけないんだ。
小さくて可愛い動物を見に来たら、小さくてかわいそうな動物ばかりでした。
『ちいかわ』の意味が変わっちまうよ!
人魚を食べた時点でハッピーエンドの訳ないのは察してたけど、いざ直視するとキツいですね。
1人その真相に気づいたちいかわは、ヒトハとフタバに詳細を尋ねようと近づきます。
しかし2人が震えながら手を握ってる事に気づき、ちいかわは沈黙を貫く決断をしました。
ちいかわああああああああああああッ!!!
お前はその秘密を抱えていくというのか!?
2人ですら苦しい秘密をたった1人で抱えて墓まで持っていく気か!?
タイトルにもなってる『人魚の島のひみつ』が一気に重みを増したように感じられました。
(キャンプファイヤーに照らされたちいかわの横顔よ……)
お別れ
討伐を終えいよいよ島を離れるちいかわ達。
見送る島民の中にヒトハとフタバの姿はありませんが、また再会できる事を夢見て船は出港します。
しかしこのままハッピーエンドとは行きません。
ヒトハとフタバは2人で別の島へと引っ越していました。
何故今更そんな事をするのか。
フタバがセイレーンの尻尾になぎ倒されたあの瞬間、実はセイレーンはお尻の単三電池を目撃していたのです。
「わかった、わかった!」
というのはハチワレの主張を受け入れた訳ではなく、犯人が誰かわかったという意味だったと。
あの……意味がわかると怖い話をいきなりぶっ込んでくるのやめてもらっていいですか。
もうポップコーンの味を思い出せません。
しかも逃げた先の島にセイレーンが向かっていくカットで終わりますからね。
もう2度とこの2人には会えないね……。
ていうか『今日の日はさようなら』が何度か挿入歌で流れてたけど『いつまでも友達でいよう』ってそういう事!?
まとめ
最後まで視聴者の感情をかき乱す事に余念のないほのぼのアニメ『ちいかわ』。
初見でしたが、十分に楽しめました。面白い!
面白かったけどそれ以上に疑問なのが、世間は今までこの作品をどう受け止めてたの!?
本当に朝のニュースでやっていいアニメなの!?
可愛い動物達のほのぼの系なのは間違いありませんが、非常にメッセージ性の強い作品であるのも事実です。朝から浴びていい味じゃないぜ……。
もしかしたらセイレーン編だけが特殊なのかな?
ていうか友人の布教にまんまと乗せられてしまいましたな……。
彼はずっと隠されていた『ちいかわ』の魅力……いや『ひみつ』を共有したくて私にこの作品を食べさせたのでしょうか……?
なんつーもん食べさせてくれとんのよ。
お前もちいかわを見習って1人で抱えて生きていけや!!
とまあ冗談はさておき、ここまで魅力的な作品に触れられて嬉しかったです。
何でも最近の展開でモモンガ退場が噂されているので、これを機にリアルタイムで追っていこうかなと思います。
モモンガの魅力、口の中に転がし入れるぜッ!